政治

パラダイムシフトは間近だと思う

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スウェーデン、ウプサラの古墳
新型コロナは、いろいろな現実を見せつけるとともに、かつて無いほど甘い夢が権力者から語られている。幸せだったところだけを切り取って過去を美化し、過去を取り戻そうという、例えば「美しい日本」などというスローガンに乗れば、戦争の時代を取り戻すことになる。勝ち負けの世界がエスカレートすれば、戦後の荒廃が待っているだけだ。政策選択の結果、(再配分前後の)格差拡大傾向が止まらなくなると、9割あるいは99%以上の民は負け組になる。もし民が気がつけば、富を独占している勝ち組に心からの憎悪を抱くようになるだろう。恐らく遠くない将来にパラダイムシフトは起こるだろう。

資産課税と自助、共助、公助

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2020年11月17日の日経新聞のサイトで『コロナ後の税制改革の展望(下) 資産課税の累進性 高めよ』という記事を読んだ。世界は天災(act of god)級の災害が発生した時に、国、政府はどうあるべきか、という問いに直面している。単純化すると、お金持ちが我慢でして貧乏な人を救おうとするか、貧乏な人を見捨てて生き残れるものだけで未来を考えるかだ。私は、一人でも多くの人が共に生き残ることのできる公助強化の選択を行うべきだと思う。それは決して個別の競争を否定することではない。
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欧州のCOVID-19感染拡大で考える

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whoの比較グラフ201109
国別の集計で、アメリカは一日の陽性判明者では一番多いが、それはアメリカの人口が多いせいもある。人口あたりの陽性者数だと、WHOの集計グラフを見れば一目瞭然で、フランスはアメリカより3倍以上の密度があり、日本は比較してみるとほぼゼロだ。私が気になっているのは、イタリアを含めて欧州の少なくない国が一度は日本以上にうまく感染をコントロールできた実績があるのに再び感染拡大していることだ。なぜ、そんなことになってしまったのかを考える必要があると思っている。

EUROはデジタル通貨のプロトタイプか?

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PayPal、仮想通貨関連サービスを開始か──ビットコイン購入の報告事例
やがて通貨は国から独立するだろう。一方で、インフラを維持するためには課税は避けられない。host countyの選定条件の一つに公共サービスの効率性、持続性が問われる時期が来ているのだと思う。e-residencyはその一つの解の提案と考えてよいだろう。EUROはまだ欧州中銀の支配下にあるから、デジタル通貨のプロトタイプとしての検討上の価値はあるが、恐らく一過性の通貨になるだろうと私は考える。もちろん、それはEUROが無価値になることを意味しない。
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CLDR - Unicode Common Locale Data RepositoryではCountryの定義がない

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Drupal CommerceのメンテナのCentarroのロゴ
Drupal Commerce(画像はDrupal Commerceのサポート主体のCentarroもの)のドキュメントを読んでいたら、住所の扱いのところで、CLDRという言葉が出てきた。CLDR - Unicode Common Locale Data Repositoryは、言語や国のコード、表現を整理して記述した格納庫である。ところが、Countryの代わりにTerritoryという単語が使われている。記述の中身を見ていくと、こういう記述が一筋縄で行かないことが分かってきた。例えば、香港。デジタル時代に国というシステムが悲鳴を上げている気がする。そろそろ、システムの再構築の時期が来ているのかも知れない。
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OECDは2014年にe-governmentとDigital governmentを別のものと定義していた

e-governmentもDigital governmentも日本語にしてしまうと、どちらも電子政府としたくなる。しかし、e-governmentとDigital governmentは似て非なるものだ。私達は、e-governmentの向こうにDIgital governmentがあるのではないことを理解し、立法府に適切な制度化を求めていくべきだろう。エストニアを見習って、個人番号を政府向けの管理番号から市民のデジタルアイデンティティに変え、Once Onlyへの移行を義務付け、グローバルな互換インフラを推進するのが良いように思う。引用させていただいた神長広樹氏に感謝する。
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2020年国連総会のエストニア大統領スピーチは数年後に意味を持つだろう

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https://news.err.ee/1139258/president-to-un-pandemic-brings-global-tech-governance-opportunities
抑制的なスピーチだが、内容はとても示唆に富む。私は数年後に国家という枠組みの崩壊の先駆けだったとして参照されることになる可能性があると思う。このスピーチではダイレクトにe-residencyに言及していないが、物理的な居住地と保護される人権を分離したことによってエストニアは成長の緒についた。恐らくEUを躯として、時代はパラダイムシフトする。自分が生きている間に目にすることはできないだろうが、エストニアによって、いまとは全く違うレベルの平等が実現され、今の国という区分はなくなるだろう。私には、そういう未来を予想させるスピーチだった。

行政の電子化は最優先テーマとして良いと思う

菅政権はデジタル庁を設立して、電子政府を進める考えだと書かれている。私は時宜にかなう動きだと思う。新型コロナが深刻な状況になった時に、東京都はいち早く新型コロナウィルス感染症対策サイトを立ち上げて情報提供側面で優れた仕事をしたが、情報収集側面では、厚労省のHER-SYSは現時点では所期の目的を果たしているとは言えない。情報管理主体が分散・重複しているのが主要な原因だろう。エストニアに見習って、デジタルアイデンティティの確立とOnce Onlyポリシーを採用すれば行政の電子化は進むと思う。電子政府の成功と総監視社会は紙一重である。総監視社会は安全への入り口で、その機密性が権力者や犯罪者に侵されるとディストピアが待っている。行政の電子化は最優先テーマであり、同時に主権者は権力の暴走に十分注意しなければいけないと思う。

国籍は自然人の属性でしかない

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2018年のタリン
デジタルアイデンティティはやがて世界共通の仕組みにならざるを得ない。マイナンバーは滅び、日本の電子政府への取り組みは今の延長線で考えていれば失敗する。一方、エストニアの行政モデルは世界のリファレンスモデルになるだろう。日本はエストニアのモデルを参考にしたのに、残念ながら人権優先の部分は採用せず、政府による国民支配に一定の制限をかけるだけの情報化時代前の古い法制を作り上げ、自縄自縛で給付金さえうまくまけなかった。 もう一度、エストニアの新しい制度・考え方に学んで、本当に良い未来を目指せたら良いと願っている。日本だけでしか通用しない制度に固執せず世界で通用する制度を作り上げたいものだ。工夫次第できっと良い未来を手に入れることができる。

強さへの依存から多様でしなやかな社会へ

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2013年のストックホルム
VOGUEの『政治もファッションも! より良い社会をつくるリアルな戦略。【北欧サステナライフ研究 vol.5】』という記事に「昨年末、フィンランド新首相にサンナ・マリーン社会民主党党首(34)が就任した。現職で世界最年少の首相となり、連立政権を組む5党の“顔”は全員女性。そのうち4人が30代だ」と書かれている。北欧はヨーロッパの中でも特別な地域としてブランドになっているが、それでもこの事実は衝撃的である。 北欧は、早い時期に少子化に直面し、持続可能性への取り組みが早かったように見える。地球温暖化など今までの強者優遇政策の向こうにある破綻が明らかになって来て、強さへの依存から多様でしなやかな社会への変革を望む声が大きくなってきている今、子育て世代の女性達に国の判断を任せるのは好ましいことに思える。