日本を守るのが私の使命と考える人がいるのはわかるのだけれど、シェンゲン圏に行くと、パリとベルリンは東京とソウルよりはかなり東京と大阪の関係に近い感じがする。好きなところに住めば良いという感じ。
制度を整合させる努力を続けていって、移動の自由が拡大されると国家の存在が意識に登る機会は減る。言葉が違うと難しいのは間違いないが、EUの小国を見ていると、越えられない壁ではないように思う。魅力的な街を作る競争は必ずしも小国不利とは言えない。
100年を考えたら、強い日本をめざすより、移動しても制度的な違和感をあまり感じないような国際関係の構築を目指す未来を私は好む。
デジタル化に真面目に取り組めば、意外と遠くないんじゃないかと思う。
移動の自由を確保しつつ感染症に負けない社会制度を確立する時期が来ているのだろう。深刻度に応じてできるだけ小さな範囲で徹底的に人の動きが止められるシステムはきっと構築できる。その個人識別には本来国籍は関係ないはずだ。プライバシーが高度に守られるユニバーサルeIDの確立を前提に制度を考えれば出口が見えてくるだろう。50年もすれば、パスポートも不要な世界になっているはずだ。
ただ、国家が民を管理する形態からはどうしても脱する必要がある。国家は民を支えるものに変わる必要がある。UKもUSもその時代のプロトタイプで、現在はEUが時代を拓いている。エストニアの挑戦が世界を変えつつあると思う。ある意味で、アフガニスタンはエストニア等を越えて世界でもっとも若い国となった。多分、絶好のチャンスが到来しているのだ。簡単だとは思わないが、何とかしてこの機を捉えられたら良いのに、と思う。極めて慎重に進める必要があるが、eIDは武装解除の促進にも貢献できるだろう。