電子メールアドレスは、デジタルアイデンティティの有力候補となる。パスポート番号は、世界で通用するデジタルアイデンティティではあるが、発行されるたびに番号は変わるので永続的に使用することはできない。日本のマイナンバーもデジタルアイデンティティで日本という国が存続する限り安定的に利用できる。
電子メールアドレスは、組織に所属している間は、安定的に機能するが、転職したり退職したりすれば同じIDを利用することはできなくなる。そういう意味では、gmailやicloudの方が長期的に利用可能な気がするが、どんな企業でも崩壊のリスクはあり、そのデジタルアイデンティティに依存してしまうと、崩壊時に自分を証明するIDを失うことになる。
電子メールアドレスはDNSに依存しているから、このシステムに永続性があれば、デジタルアイデンティティの長期利用が可能だが、一方で、そのIDが本当にその人を代表・代理できるかという観点に立てば、誰かがその有効性を保証(アンダーライティング)しなければいけない。
周囲で、定年等で離職する人が増え、gmailやicloudを頼りにする人が増えている。私は恐らくデジタル第一世代に属していて、いち早く問題に直面する世代だ。この問題に立ち向かって新たな基準を構成していく義務があるのではないかと考えている。