日本年金機構の届書作成プログラムによる電子申請で難儀した

異動が発生して、協会けんぽの届けをやろうとして難儀した。18回の申請修正を経て、何度も電話のやり取りを経て、ようやく先程手続きが進み、新しい健康保険証が17日に発送される見込みとなった。

実施した手続きは「健康保険・厚生年金保険被扶養者(異動)届/国民年金第3号被保険者関係届(CSVファイル添付方式)」である。

まずやったのは、日本年金機構の電子申請(届書作成プログラム)のページからプログラムをインストール(アップデート)。これはWindowsしか動かないので、普段遣いのMacでParallelsのWindows11を立ち上げて、届書を作成(住所入力あり)した。今どき、マイクロソフトの製品を購入しなければ手続きが進められない日本年金機構は既に終わっていると一人悪態をつきつつ、そのアプリで電子申請用のファイルを作成した。csvファイルができるので中身を見ると、見出しのない半角カナを含む内容で、せめてjsonとかにしてくれれば良いのにと思うのだが、まあ届出書作成プログラムが良いというのだから良いと思うことにした(この仕様を承認した責任者は無能か、政治に負けたのだろう)。

資料は年末までに準備していたが、異動日を1月1日にして申請するのは12月には受け付けてもらえない。電子申請は365日24時間ということだったので1月1日にやろうとしたら、恐らくGビズIDに問題があったようで、届書作成プログラムから申請ができない。障害を疑ってMacでe-Govのアプリを上げるとGビズIDによるログインができない。Windowsだと多少進む時もあるが途中でセッションが切れて最初からやり直しになる。障害報告も探したが出ていないので1時間程度格闘したが、これはダメだということで1月2日にe-Govをリトライした。何もアナウンスはなかったが、2日にはつながったので申請を行った。今気がつくと、最初のミスはこの時に「(2020年12月以降手続き)」を選んでしまったことだった。既に届書作成プログラムでcsvファイルはできているので、e-Govを利用して申請すれば良いと考えたのだが、1月4日になって却下された。この時点で既に枝番は12になっている。

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まず、このメッセージがxmlで戻ってくるので、簡単には読めない。古いIEの頃は読めたが、今はブラウザのセキュリティを緩めないと読むことができない(Internet Explorer以外のブラウザでは、初期設定ではスタイルシート(XSLファイル)を読み込むXMLファイル形式の公文書を開くことができませんが、次の手順により、適切に表示させることができます。)。もうこの段階で、日本語デジタル・ガバメントは死んでいる(国民の不都合に向かい合っていないし、国民を危険にさらしている)と思うが、手続きを進めるためには受容するしか無い。

メッセージから考えると、やはり届書作成プログラムから送らないとダメそうだと考えて、届書作成プログラムから送ったのだが、これも却下された。

お知らせの詳細

件名                :件名 : 不受理のお知らせ
手続名              :CSV形式届書総括票/電子申請(2022年10月以降手続き
                      )
受付番号(更新日時):01230104343415185(2023年01月05日 08:35)
申請先機関名        :年金事務所
到達番号            :20230104160722V600
名称                :千代田年金事務所(東京事務センター)
連絡先              :https://www.nenkin.go.jp/denshibenri/toiawase/20150318.htm
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ダウンロードファイル:20230104160722V600.zip

委細は、このダウンロードファイルにhenrei.xmlで書かれていたのだが、このメッセージから連絡先に連絡を取れと書かれているとしか取れず、委細を見落とした。一つチェックボックスをオンにしていなかったことが原因だったのだが、まずファイルが届くまでに20分以上またされるので、何か間違いだと考えて取り下げて同じ内容を再送した方のダウンロードファイルのhenrei.xmlには、以下のように書かれていた。

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申請手続きでも日付欄があるので、修正してもう一度、同じ届書(枝番12)を送ると、やっぱり番号重複で却下された。前回の経験で、電子申請なのにファイルが届くまでに20分以上はかかることは分かっているが、ユーザーとしては気になってしまって他の仕事に集中できない状態が続く、申請するたびに住所(申請者個人と会社の2つ分)や提出先を一から入れ直さなければいけないので、1月4日だけで10回程度入力が強いられた。

ようやく翌1月5日に届出書を再作成枝番13で出し直すが、これも1月10日になって却下通知が来る。もうわけが分からず電話をして内容を確認、担当の対応は丁寧だったが、ダウンロードに補正に関する情報が含まれていることを指摘してくれなかった。これは私のミスと言えるのだが、繰り返し届く不受理のお知らせでもう勘弁してくれ状態だったのだ。

とは言え、資料を準備して翌1月11日に申請した。ところが、参考資料として付与した確定申告控えのpdfが受け付けてもらえなかった。恐らくプロテクトが掛かっていたせいだろう。しょうがないので必要ページのみをキャプチャしてpdfを作成して、添付できなかった申請を取り下げて、正しく添付した申請を出したら、再び不受理のお知らせが届いた。しかも、今度は確実にと思ってダウンロードも丁寧に確認したが、何も理由が書かれていない。

電話をすると、取り下げが通っていても、同じ枝番で申請するとそもそも年金機構までファイルが送られないということだった。どう考えてもシステムの不備である。私は、カンカンに怒っているが、担当した方は丁寧だった。救う方法が無いので、とにかく再申請してくれと言う。とは言え、現状を確認して何か方法がないか調べてみるという話だったので、再申請した。添付ファイルが年金機構に届いていないので、最初の電話で教えてもらった対応が正しいかどうかを機構側で確認することもできない。だから、担当者からすると私に再申請をさせても、また再申請を求めることになる可能性があるのは十分承知している。先方からしてもシステムの不備があることは本音では分かっているし、そのせいで非効率が生じているのは口には出さないが分かっている。組織的な対応ができないとしわ寄せを受けるのは現場だ。とにかく、何とか案件を進めないわけにはいかない。

結局1月11日中には解決が叶わず、先方が約束した12日のコールバックもなかった。今日13日にコールバックがあった時に冒頭で約束が守れなかったことを詫びられたけれど私はむしろ案件を進めるために尽力してくれているのだろうと解釈していたので、気にはしていなかった。幸い、申請内容も添付書類も完全ではなかったが、受け入れ可能なレベルだったので、手続きを進めることはできた。

人事担当者がいて、それなりの件数を繰り返しこなしている企業であれば、今回経験したような苦労は避けられるだろうが、もし日本年金機構が競争環境にある民間企業であれば、こんなシステムを顧客に提供したら客離れを招くだろう。接した2名の担当者はとても丁寧だったが、組織としては褒められるような状況にはない。ビジネスを円滑にすすめるためのシステム開発にコストが必要なのはわかるが、機構が金をケチって利用者の時間を奪うようなことは本来あってはならないことだと思う。

何と言っても、公文書をダウンロードさせて自分で読めるようにしろとユーザーに求め、そのためにブラウザ設定の脆弱性を高めなければいけないような状態は、感覚的には犯罪行為に近いと思う。それはe-Govも同じで、ダウンロード機能は継続するとしても、Webで直接見えるようにしてもらいたい。現実的な問題として、Chromeだけで完結できず、使いにくいアプリを強制し、何かあると一番最初からもう一回という拷問を課し、たった一つの申請のために何十回も住所を入れさせるような状態を放置するデジタル・ガバメントなどありえない。

現場が丁寧だっただけに、経営を変えなければダメだと思ったのであった。責任ある人達からデジタル音痴を一掃しないと国民全体が不利益を被る。教育も失敗しているし、元をたどれば旧弊にこだわる保守派が諸悪の根源だと思う。

幸いデジタル庁のページにはワンスオンリーを推進すると書かれている。やがて、ちょっとした申請ごとに住所を何度も求められるようなことはなくなると期待している。ただ、マイナンバーに関する基本方針を変えなければ実現できない。根底から腐った方針の上に無理やり効果的なシステムを作ることなどできるわけがない。家族や組織が個を管理あるいは支配するモデルから、個の権利を中心に据える方向転換を行えなければ、明るい未来など望めない。

国が老いているということなのだろう。残念だ。

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