コロナ後も従業員はオフィスに元のようには戻らないのは確実らしい(続:オフィス勤務と在宅勤務の長短をLeesmanが分析中)

先程、日本時間の20年7月7日の21時から、Leesman社の"Global Home Working: The First 50k"の発表があった。前回の中間発表から回答数も増え、3月31日から6月30日までのサーベイの分析が概ねまとまったものの発表である。

「在宅勤務は、自分の業務生産性を高めることができる環境だ」という調査の結果は、オフィス勤務での同様の調査より18%も高い数字が出た。ただし、同時に企業(組織)間のばらつきが多いことがわかったのも示唆に富む。45%のうまくやれるケースでは、無茶苦茶評判が良いが、約3分の1のケースでは、かなり問題がある状態にあり、19%では落第点となっている。

Lmiの分布

Leesmanは、それはなぜかという事は言わないが、テレワークマネージャー相談や、その他の自分の情報ソースからの感触と欧米と日本の傾向さで補正した時に良く合致している。日本では45%には達しないと思うが、概ね3割の日本企業(の従業員)は、やればやれると感じており、工夫すればオフィス勤務より好ましい働き方だと考えているように感じている。そして、半分程度の日本企業はリモートワークは無理と中間管理職も社長すらも考えていて、そういう会社ではテレワークで生産性がだだ下がりだと考える従業員も多い。うまくZoom等を使いこなせれば、コミュニケーションも困らないし、クリエィティブな仕事は在宅の方が捗る。

もう一つとても興味深いのは、オフィスでは、従業員満足が高く出やすいのは若手で、在宅では年齢が高いほうが支持率が高いところだ。

年令による満足度比較

理由は複数考えられるが、年齢が高いほうが自律性が高いのはともかく、年齢が高いほうが経済的に余裕があって、自宅に書斎等の仕事に適した執務環境があることが分析されていた。(机や椅子を含む)物理的な環境が整っているかどうかは、かなり生産性を上げられそうと思えるかどうかに影響するのである。逆に言えば、良いPC、健康的に執務できる机や椅子を支給できれば、在宅勤務は生産性向上に資する可能性は大きい。オフィスの1席あたりのコストは在宅と少なめに見ても月5万は違うだろうから、36ヶ月で考えると180万円くらい投資余地があり、合理的に考えるリーディングカンパニーは、100万程度の投資は安くつくと考えているフシがある。日本では稀な気がするが、従業員の生産性向上を考えれば悪くない決断だと思う。

今後、オフィスのWeb会議への適応は、かなり大きな問題になるという点にも触れられていて納得感があった。これは、コワーキングスペースでも大きな課題であり、日本でも確実に解決すべき課題となるだろう。現時点では、安心して、Web会議を行える環境を十分に確保している企業はほとんどない。

検討すべき6つの課題

検討課題6点は、主観的な感じは否めないが、「目の届かないところで働くことを許容してしまった以上、従業員への信用供与は元には戻らない」、「オフィスはよそ行きと同じ感覚になる」、「対面の価値の再発見が必要」、「中長期的な影響はまだわからない」といったあたりは賛同できる内容だと思う。

コロナ禍は、デジタル社会の到来を加速させたのは間違いない。流されてついて行くというような選択よりは、拒否するほうがマシという考え方もあるだろうが、グローバルに見れば、対応できなきゃ凋落は必至と考えたほうが良いだろう。政治問題でもある。公共インフラが本質的な意味で、デジタル化に対応できなければ、底下げしているのと同じである。