Web会議は、ホスト側が物理的な場所に集まってはいけない

Web会議については青野社長の記事で書かれているのが分かりやすい。私の経験でも、オンラインでやるなら全員がオンラインの方が満足度が高い。最近気になっているのは、じゃあ同じ場所にいるのと何が違うのかという点だ。

「リアルの会議室で参加している人たちは、僕の様子がよく見え、僕の声もよく聞こえる」は概ねそうなのだけれど、会議室にいる他の参加者の微妙な反応も認識できるのも大きい。話している時に受けてる感、外してる感の伝わり方が圧倒的に違う(遅延もある)。だから、リアルに一緒にいる人のフィードバックの影響を強く受けてしまう。

英語のオンライン会議だと、私の経験では話者の声は、リアルな会議より聞き取れることが多い。自分で音量をコントロールできるのもあるし、オンラインで聴衆の反応を見ている話者の場合、話の区切りがリアルなケースより長いポーズが入る。ほんのちょっとの間なのだが、そのほんのちょっとの間が理解度を高める気がする。恐らく、母国語でも話者が熟達していれば「全員オンラインの会議だと座席の優位性が全くない」から、特に大人数を相手にした場合はオンラインが比較優位になるだろう。

じゃあ、オンラインで特に不利なのは何かと言うと、話者の頻繁な交代が難しい点だ。ポーズが長いのと衝突した時のリカバリ時間が長いので、複数話者感で頻繁なスイッチが起きるような討議には向かない。どうもオンラインは知識の獲得には有利なのだけれど、予想外の驚きに接する機会が減る気がする。「その意見に関しては、こういう別解釈もあるんじゃない」という即興のツッコミのハードルが上がるからじゃないかと疑っている。飲み会等で盛り上がるタイプの技術論議とかオタッキーな会話とかはどうもオンラインではリズムが悪い。思いつきの投げあいはポーズが入ると失速するのだろう。

 

ふと佐谷氏の「パーティーするように仕事しよう」という提案が頭に浮かんだのであった。

オフィス勤務を含め「コワーキング」が重要なキーワードだと思う。リモートワークとコワークは別々に存在していて、属性的にはオンラインとオフラインとの親和性がある。ああ、そうか、ABWの話でもあるのか。青野さんがオンライン会議で行うアクティビティは、実会議室でやるのはABW的に不適切だったって事だ。逆にコワーキングが本質的に重要なアクティビティは、やっぱり出社して(あるいはどこかに物理的に集合して)やったほうが良いのだろう。もちろん、コストの問題も加味して考えないといけないが。コロナ禍で、会うことや移動のコストが著しく高くなったので、ABWの組み換えが避けられなくなって、いままで考えていなかったことを考えさせられている。良いチャンスと捉えて、皆で一生懸命考えれば、きっとそれがNew normalを形作ることにつながる。