根津にあるCouztというカフェ・レストランでランチ。かなり以前に入った記憶はあるが、この形態の店になってからは初訪問である。
縦開きのスチール窓から外気を取り入れる感じが心地よくて、とても落ち着いた雰囲気で思わず長居してしまう空間。ランチプレートも丁寧でオーガニック感のある美味しいものだ。玄米は食べる人もちょっとづつ丁寧に食べることになるので店にマッチしていると思う。WEP対応ではないがフリーwifiが使えるのも便利だし、テーブルタップも求めれば貸してくれる。
メンバー制のサードワークプレースにはインサイダーとアウトサイダーをどこか隔ててしまう感じがあって、一番最初に契約した平河町ライブラリーが閉店してしまってから迷いつつも結局ホームワークプレースの契約は行っていない。在宅と、カフェ、ドロップインのコワーキングスペースが私の作業場所になっている。適度に生きて動いている人の気配が感じられたほうがくつろげるので本当は在宅よりも、Couztのような場所の方が心地よい。コストがかかるから勢い在宅が増えてしまうが、外に出たほうが生産性が上がる日があるのは良くわかっている。移動時間も惜しいような集中作業なら在宅は良いが、本当はあまり自宅で仕事をしたいとは思っていない。
別の視点で見ると、カフェのテーブルとオフィス家具は機能的には大きな違いがあり、カフェのテーブルはキーボードを打つには高いのが普通。ソファーと合わせている場合はすごく低い。PC作業をするには、カフェは機能的に向いていないから、長時間の作業をすると肩がこる。しかし、だからダメだという話でもなく、その場の空気とかいまやろうとしている仕事とマッチしているとか、そういう要素の方が大きいと感じることも少なくない。
コワーキングスペースはとても魅力的なサービスなのだが、本当に求めているのはコワーキング経験なのである。繰り返し顔を合わせて気の置けない仲間になる快適さもあれば、新たな出会いの魅力もある。バーで知り合うのもありだし、コワーキングスペースのダイニングでの休息での出会いもありだ。そういう意味で最近はコワーキングスペースの限界を感じることもある。コリビングも似ていて、旅をしながら、仕事もしながら、今まであったことのないような人と出会って、住居を共にしてしばらく過ごすというのは、一度経験すると病みつきになりそうな体験だが、本質はコリビングスペースではなくコリビング体験である。
ITを使えば複数のサービスのいいとこ取りを容易にする事ができる。一方で、Couztは「省く手間を選び、手間を大事にしつつ生活まるごとを楽しめる場所にしたい」と主張する。その思いは店主の醸し出す雰囲気の中に現れ、快適な空間の基盤となる。どちらが良いとか悪いとかということではない。可能であれば居心地の良い場に身をおいて生きていきたいものである。その方が快適なら、手間がかかっても良いのだ。