どちらかと言えば、題名を「政治と消費税」とした方が内容を表している気がする。政治が猿山状態にあることがわかって悲しい。
アメリカやヨーロッパに出かけると、VATだけでなく、日本の税金が無茶苦茶安いと思わされる(社会保障は別)。この書籍では日本が小さい政府であることを示していて、より小さな政府を目指したほうが国民にうけることにも触れている。小さな政府なりには良く行政サービスが実施されていると感心するが、私には長期持続性が感じられない。(人口)成長が止まった国だと、インフラを維持することが困難になるからだ。テッサロニキを訪問した時に、日本の地方で行政サービスが維持できずにゴミが回収できなかった時期があることを想起させられた。リスポンに行った時も、大昔のすばらしい道路や都市計画の成功を感じつつ、メンテがままならなくて、これからどうなっていくのだろうと考えさせられた。ポルトのように歴史的遺産で観光収入を稼ぎつつ、関係人口の増大に賭けて再興を目指している取り組みもある。もう望み薄なのではないかと感じる場所でも再起は可能なことを思い知らされる。
私は、消費税は20%程度に上げても良いと思っている。アベノミクス的な投資より、より冷静で権益に依存しない国家としての投資ができるようになるだろう。
権力闘争あるいは選挙競争が無意味だとは思わないし、(世襲議員は別にして)競争を勝ち抜いてきた人たちにはそれなりの力があるのは間違いない。しかし、権力欲に負けてしまったら、民に明るい未来をもたらすことはできない。インフラを整備しなければ安心、安全は得られない。インフラには防衛力も含まれるが、武力より外交力の方が結果的に安くつくだろう。アベノミクスという博打に負けて、今の円安を迎えたと私は考えているが、上川 龍之進氏はそういった個人の思いとは別に視点を引いて、遠方からなぜ消費税が、あるいは必要な財源が確保できないできたのかを明らかにしようとしていて、一定程度成功していると思う。
改めて再確認するまでもなく、責任ある立場になって初めて見える景色はある(見えなくなる景色もある)。
著者は、最後の部分で「財政再建を実現するには、こうした国民の「被害者意識」を修復し、社会を構成する一員として、自ら進んで応分の負担を受け入れようとする気持ちをもたせることが必要になる」と書いている。言い換えればタダほど高いものはないという話でもあり、コモンズの話でもある。