12月10日にタリンを発って紆余曲折を経て12月12日に成田空港にたどり着いた。検疫を受け入国した時は、タリンを飛び立ってから48時間を超えていた。だから、もし私が今感染しているとすると恐らく渡航中、あるいは検疫プロセスの途中で暴露した結果だろう。12月17日現在だと、厚労省の「検疫所が確保する宿泊施設での待機・誓約書の提出について」によればエストニアからの帰国者は検疫所が確保する宿泊施設で3日間待機し、3日後に検査を受けてから自主隔離期間に入ることになっているが、12月12日の時点では待機期間は0日。入国前の検査結果は陰性だったので、成田空港近くのホテルで自主隔離期間に入った。自主隔離だとPCRテストも自主的に行うことになるが、誓約で自主隔離場所に留まり、可能な限り人との接触を避けることが求められているので長く万が一を恐れながら過ごすことになる。食べないと生きていけないから、朝食はホテルのバフェ、昼食、夕食はコンビニ弁当に頼っていた。ルームサービスを使えば部屋から出ない選択もあるが、食べ物代だけで1日約1万もかかるのは耐え難い。バフェの感染対策は十分に見えたし、コンビニの滞在も短時間に抑えて発話しないようにすれば万が一自分が感染していたとしても伝染させる確率は低いと自分を納得させていた。自主隔離なので注意しながらの屋外の散歩はリスクは低いと思ってもいたのでホテルから一番近いコンビニまでは食料調達に行っても良いと考えていた。実際、帰国日、翌13日月曜日は誰にもすれ違わないような状態でもマスクをした状態で外のコンビニに通った。
その13日、11:47に「【重要】<厚生労働省>搭乗便における陽性者確認のお知らせ」というメールが届き、そこには
・あなたが搭乗していた航空機において、新型コロナウイルス感染症に関する検査で陽性と判定された方が確認されました。入国から14日間の自宅又は宿泊施設での待機、健康状態や位置情報の報告など、空港で提出していただいた誓約事項の遵守を改めてお願いいたします。
・濃厚接触者である可能性が高い場合には、入国者健康確認センターから個別に連絡をいたします。体調の変化には十分にご留意ください。
と書かれていた。そのメールの後にも30分程度待っても濃厚接触者という連絡はなかったので少し遅い昼飯の買い出しに外のコンビニに行った。しかし、戻ってきてから改めて考えたら、ワクチン接種済みで出国前72時間以内にPCRテストを受けているわけだから、かなりの確率で伝染性の高いオミクロン株だと考えるようになった。そう考えてからは、品目数は少なく、正直に言えば自由度があれば選択したくないと思うホテル内のコンビニで食料を調達するようになった。
濃厚接触者の可能性がありますという連絡がMy SOSアプリから入ったのは12月16日(木)12:04だった。管轄保健所に連絡せよという指示が含まれていた。昨日のことだが遠い昔のことのように感じる。基礎情報を伝えて折返しを待つと、予想通り、搭乗機の陽性者はオミクロン株だったから全員が濃厚接触者扱いとなると告げられた。それ以上の情報は保健所の担当者にも開示されていないらしく、実際にどの程度近くに陽性者がいたかはわからない。いずれにしても、保健所の宿泊療養施設に入ってもらうという指示を受け、帰国日の2週間前11月28日(日)からの行動履歴を聞かれた。私は、Swarmというアプリを使ってライフログをつけているので、むちゃくちゃ細かく説明できる。何時にホテルを出てどこに行って、どこの店に入ってといった情報を提供し、それぞれで感じたリスクを説明した。かなり驚かれた。18日になる可能性は否定できないが、まず間違いなく17日に移ってもらうとのことだったので、影響が出そうな先に連絡を済ませ、荷造りを行った。
今振り返ると何か虫の知らせがあったのかも知れないが、通知のあった16日の午前中にホテルのコインランドリーで選択可能な衣類は全部洗っていた。もし、そうしていなかったら今の部屋の風呂で洗わないといけなくなっていたかも知れない。今回は長期戦を意識した出張なので衣類も多めにしたし、薬も2週間余計に準備してあった。
話は変わるが、ワルシャワ便がそのまま飛んでいたら大丈夫だったのだろうか、と考えたくなる。ふと気になって、意味がないことは分かっているが調べてみた。厚労省は「新型コロナウイルス感染症の患者等の発生について(空港検疫)」をほぼ毎日発表している。12日、13日の発表を見ると、12月12日成田着の陽性者は6名。内アムステルダム便に乗る可能性の高い人は2名。ロシア発10代男性と、ベルギー発10歳未満女性だ。子供だったのは想定外だった。恐らくどちらもワクチン未接種だろう。今の所、同じく発表され続けている「新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者の発生について」では出てきていない。今日の発表にも出てきていないので、私の想定ミスかも知れないし、発表されない事情があるのかも知れない。
もう一度話は変わるが、私は「小池都知事、入国者の検疫強化を要望 オミクロン株対策で後藤厚労相に」を支持する。実感として自主隔離はかなり難しい。自宅に帰れば家族が危険にさらされる。ホテルでは安全性を高めようとするとルームサービスが必須になり経済的にも帰国者、来訪者への負担が重いし、せめて簡単にPCRテストが受けられるようにしないと安心できない。現在のエストニア帰国者は最初に書いたように検疫所が確保する宿泊施設で3日間待機し、3日後に検査を受けてから自主隔離期間に入ることになっている。3日が適当かどうかは議論はあるが、オミクロン株の発症タイミングの早さを考えると隔離して3日後のPCR検査でかなり拾えるだろう。出国前のPCR検査直前に感染していれば恐らく入国時検査で陽性になる。多分、PCR検査後に感染していて、入国時に陰性で直後に陽性化していると考えるのが適当だと思う。安全性確保の観点でも、安心感を得る観点でも、地域や国籍に関係なく例外なく3、4日強制隔離する方が良い気がする。財源は一時的に入国税を10万円程度上げて対応するのが良いかも知れない。帰国者で経済的な問題などから負担できない人には別の救済措置を考えればよいだろう。また、それができれば自主隔離期間は+7日+PCRテストで良さそうで総期間は短くできる。私なら、最初から公的隔離期間がわかっていれば、その後に自主隔離期間分ホテルを確保する。リスクを負って渡航する覚悟をすれば、今後も飛びたいし、帰国後の持ち帰りリスクはゼロにはならないが、自分が感染源になる確率はせめて1万分の1以下にしたい。
私はまた渡航したいが、もっと上手に、より計画的にやりたい。ただ恐れているだけでは未来は開けないし、無謀に過去の習慣に戻すのも嫌だ。普段はより安全で持続性のある形をニューノーマルとして確立し、イベントは適切な緊張感をもって乗り切るものとしたい。
※画像は宿泊療養施設のエレベーターホール
コメント
My SOSは今日も所在確認を求めてくる
ランダムな時間に日に1、2回ビデオ電話がかかってきて所在確認が求められるし、保健所と国の両方から平熱確認、症状確認の報告が求められている。GPSによる位置確認ボタンも日に何度か求めてくる。My SOS経由で国からの指示で濃厚接触者として千葉県の管轄保健所に連絡し宿泊療養施設に入って半隔離状態になっているのだから所在確認など不要なはずだし、保健所に管理を任せたのだから必要な情報は保健所から取れば良い。つまり、保健所と国は連携できていないのだ。国は26日になるまで公共交通機関を使わないように宣誓させ、保健所の資料では25日のPCR検査が陰性なら26日退去で公共交通機関を使って出るように書かれている。保健所の指導に従えば国との約束を守ることになり、自主隔離ホテルは27日チェックアウトで予約していたものをキャンセル済みなので26日に出されてしまえば行き場を失う。常識的に考えれば、現場を見ることも掌握することもできないのは国の方だと思う。私が外国人だったら、矛盾する指示が原因で退去が求められたらたまったものではないから、絶対に自国大使館に連絡する。逆に言えば、そんな制度運用しかできない日本政府は極めてレベルが低いということだ。
日本政府のデジタル・ガバメント音痴は犯罪レベルに近いと思う。まだ外国人差別を続けているし、自公政権を私は支持しない。情報を適切に獲得整理し可能な限り公開しSingle Point of Contactを実現しなければどうにもならない。水際対策にはポータルさえ存在しないが、マイナポータルを見ていると政府は単なるたらい回し窓口のことをポータルと勘違いしているようにさえ見える。個人を政府が支えるという人権モデルではなく、政府が個人を管理するという専制モデルに長期的な発展はない。諸悪の根源はマイナンバー制度にある。権力の掌握に固執するから現実に対応することができない。
まあ、そうはいっても連携能力がない状態で安全サイドに運用するとすれば、今回のMy SOSの件で内外の民に二度手間、三度手間をかけて守るのが現場の判断としては正しいと思う。しかし、政府は恥じるべきだ。