ファシストは未来を支配するためにいかに過去を改竄するのか 読了。
平易でファシズム推進の処方箋を批判的に解説している。Jason Stanleyはユダヤ人の家庭で育ち、ドイツに留学MITで言語学で博士号を取り、オックスフォードで講師を勤めた経験などを経て、イェール大学で教授となった。現在は、トロント大学のアメリカ学主任教授。レッテルを貼るとすれば、国際的に活動するアメリカ系ユダヤ人となるだろう。
簡潔なまとめとして、ファシズムには5大テーマがあるとP105に書いている。
- 国家の偉大性
- 国家の純血性
- 国家の無実性
- 厳格な男女別分業
- 左翼への誹謗中傷
4番、5番はちょっと書きすぎな気がするが、最初の3つはロシア政権でも、中国政権でも当てはまるだろう。安倍・高市的あるいは参政党的な日本の政治家もファシストに分類するのが適当だろう。トランプもネタニヤフも明らかにファシストと言える。
特に重要だと思うのは、無実性の部分だ。明らかな間違いがあっても、そんな事実がなかったことにするのがファシストの定番行為である。これはWorld Press Freedom Indexで計測可能と考えて良いだろう。2026年度は日本の2つ下にアメリカが位置づけられていてその間にボツワナがいる。トップ3はノルウェー、オランダ、エストニアだ。割と肌感覚にあう。
国家の偉大性、純潔性、無実性を主張する政治家を選ぶと、その純血性の範囲外の人の人権は無視され、多くの人が殺されるというのが歴史的事実だ。だから、決してファシストに権力を持たせてはいけないというのが著者の忠告なのだろう。
この本を読んでいて思うのは、5大テーマより、「過去の栄光を取り戻す」というメッセージがもっとも有害だという点だ。どの地にもたまたま恵まれた時期はある。しかし、それを国民の選民性に求めてはいけない。
中学生から高校生の時期に、こういう本を読ませておく必要を強く感じるのである。