Workplaceはものを意味するかサービスを意味するか

Serviced officeの定義を検討している時に、ではWorkplaceは何かを再考せざるを得なくなった。

Workplaceという言葉から直感的に想起するのはオフィスあるいはオフィスの機能を担う場所と考える。Workspaceの言い換えというイメージだ。しかし、Institute of Workplace and Facilities Managementの用語集には以下のようにある。

Workplace
Services related to the working environment like fit out with furniture and equipment and tenants fit out.
ワークプレース:働く環境に関わるサービス。家具や設備を適切に整え、利用者がなじむようにするなど。

正直言って、驚いた。

考えてみると、サードワークプレースは働くに資する環境を提供する事業体が提供するサービスで、不動産や家具等の設備はそれを提供するための構成要素に過ぎないという考え方は成り立つ。

IWFMは関連する人材育成のための要件を定義し、認証を与えている機関で、サードワークプレースが産業として成熟しているUKだと転職時の参考情報を与えている。トレーニングを受けて、一定の知識があることは証明できるので、実施力はやらせてみないと分からないが、いちいち一から教えなくて良いので、Workplace事業者にとってはありがたい。

オフィスは昔は自社ビルが基本で、施設管理も自社がやることだった。しかし、オフィスはリースで借りるものになり、施設管理のアウトソースも進んだ。Serviced officeは、利用組織から見たらリースも不要で施設管理もインターネットも全部サービス契約になった形態である。確かに執務環境をサービスとして買っているとも言える。ICT技術の進展によって、自宅もWorkplaceとして機能するようになり、場合によってはむしろ生産性の高いworking environmentになった。もはや、成果が出せるならどこで執務しても良いじゃないかと考える考え方とか、ABWのように業務内容によって適切な場所を選ぶのが合理的と考える人も増えた。当初はABWはオフィス内のセッテイングをフリーアドレスや静粛スペースなどABWに適した形に変えるデザイン戦略だったが、今はオフィスデザイン戦略ではなくワークデザイン戦略に変貌しつつある。やがてメタバースもworking environmentの一つとなるだろう。今言うのはちょっと早すぎるとは思うが、やがてサードワークプレースという言葉も死語になるだろう。

大きな流れとしては、持てる資産をどう生かしていくかという考え方から、有りたい姿に至るためにどう他人に頼るかという考え方に転換が進んでいるということだ。持たざる経営のレイヤがどんどん身近になってきて、個人の生き方に直結するものになってきているのだろう。

人間の心はそう簡単に変わらないように思うけれど、10年程度の単位で考えれば確実に変わっていく。

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