Google takeout

先日の某発表会でGoogle takeoutが話題になったので、いくつかファイルをダウンロードしてみた。

冒頭の画像は、私のロケーション履歴(タイムライン)を表示したものだ。

https://timeline.google.com/

でロケーション履歴がオンになっていれば、誰でも自分の履歴を見ることができる。

実際にデータ(json)を落とした結果、データ量は990MBだった。一番最初のデータは2013年5月28日の19:30過ぎだった。何かのきっかけで、この時にロケーション履歴をオンにしたのだろう。最初の場所は永田町の森ビルだった。

{
    "latitudeE7": 356792938,
    "longitudeE7": 1397415954,
    "accuracy": 65,
    "source": "UNKNOWN",
    "deviceTag": 613462809,
    "timestamp": "2013-05-28T10:32:37.291Z"
  }

ソースは、WIFI、GPSだったりするが、最近のデータだと高度データ(誤差データ範囲込)等も含まれていて細かい。徒歩移動中確率98%といった記述もある。2013年のバルセロナでのデータには欠落があったが、年を追う毎に精度があがっているように見える。精度が上がってデータが増えているといっても年間数早MBなら100年分でも個人保管が可能な量だ。

データが漏れれば、住んでいるところは明らかになるし、出入りしている場所も全てバレる。極めて危ないデータをGoogleに預けていることになるし、XiaomiやHuaweiの端末を使っているので、某国政府にもデータが保存されているかも知れない。相手が悪ければ自分の身を守ることはできないだろう。義務化すれば、犯罪捜査への貢献は大きいだろう。

個人的には、この時代、力のある主体がデータを収集しようと思えば、できてしまうだろうと諦めている。GDPRのアプローチに好感していて、データを自分でコントロール可能な形が望ましい。例えば、ロケーション履歴を参照させない人は入国させないという国があったとしたら、それを明示した上で、個人の判断に任せるのが望ましい姿だと思っている。あくまで個人の感想だが、警察や政府にロケーション履歴が握られるより、Googleに管理してもらっていて令状に基づいて開示するほうが良いと思っている。望まない形で開示されない権利はあって欲しいと思うが、消去する権利を本人に与えるべきか否かは議論の余地があると思う。データを記録・保管することと、データの利用を制御するのは別の問題だ。

ちなみに、私が行った全ての金銭的なトランザクションのデータ量は遥かに小さいはずだ。ただ、ロケーションを記録するのと相手のあるトランザクションを記録するのは全然意味が違う。現時点では、ブロックチェーンのスケーラビリティの問題があるけれど、やがてあらゆる履歴が記録され、自分に関わる過去の取引の全てを自分でチェックできる時期は来るだろう。

過去の事実を確認することで、適切な改善策が起案できるようになる。ベンチマーク情報があれば計画を立てやすくなる。自分の行動分析を行うためのツールが今後たくさん出現するだろう。思いつきのコンサルティングはエビデンスベースに変わっていくはずだ。そういう時代が見えているからこそ、Make something Great Againといった煽りは大きくなる。簡単には移行できないが、政治はより科学的な判断に向かう必要があると考えるのである。