ABW概要

hagi2020/03/10(火) - 19:57 に投稿

Activity Based Workingは、割り当てられた固定席のみで執務する形態ではなく、業務タスク(Activity)の特質に応じて、執務場所を選択できるようにすることで、業務効率向上(あるいはコストダウン)を図ろうとする考え方である(https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Activity-based_working&oldid=916680316)。ABWという用語はオランダのErik Veldhoen氏が、the Art of Workingという書籍で最初に用いたとされている。最初はオフィス設計(設定)に関わる概念で、フリーアクセスや静粛スペースなどに関わる改善活動だったが、ICT技術の高度化で、オフィスでなくても行える業務タスクが増加したため、オフィス設定を超えて考えられるようになった。

ABWの概念に基づいて、英Leesman社(https://www.leesmanindex.com/)は、「ワークプレースエンプロイーエクスペリエンス評価」というベンチマーク評価サービスを提供しており、満足度の高いオフィス(オフィス設定)事例を表彰している。2018年末のデータでは、91カ国515組織3,494ビルディングから484,145回答者の統計処理が行われていて、より働きやすいオフィスが追求されている。様々な分析がなされており、全体を通してみれば、固定席とフリーアドレスのどちらが優れているというわけでもないことが統計的に示されている。つまり、フリーアドレスにすると業務効率が上がるとも下がるとも言えず、あるタイプの企業(業務)であればフリーアドレスのほうが良くなるが、あるタイプの企業では固定席のほうが良くなると考えるのが適切である。同様に、テレワークをやっている会社が優れているとか、テレワークをやっていない会社が遅れているとかそういうことではなく、従業員が担当している数ある業務タスクの中に固定席が効率的なケース、別のオフィス設定が望ましいもの、在宅やサードワークプレースが上手に活用できるものがあり、個々の従業員が抱えている制約によっても合理的な選択は変わり、合理的な選択をするのが望ましいと考えるべきである。

Leesman社では、業務タスク(Activity)を以下の21に分類している。

個人作業  
  デスクで個人的に行う集中作業
  デスク外で個人的に行う集中作業
  読む
  思索/創造的思索
  個人的に行う通常業務
共同作業  
  共同で行う創造的作業
  共同で行う集中作業
  他者からの学習
  非公式な社交
  非公式な予定外の会議
公式会議  
  予定された会議
  訪問者、クライアント、顧客の接待
  大規模なグループ会議または聴衆
  ビデオ会議
  電話会議
会話  
  通話
  機密事項の話し合い
  私的な会話
その他  
  技術的/専門的設備または資料の使用
  書類や資料の配布
  くつろぐ/休憩

 

5つの個人作業は、基本的に場所の制約も時間の制約も受けない(場所の制約がある場合は「その他」/「技術的/専門的設備または資料の使用」になる)。例えば、これらに分類される業務タスクが8割を超えている従業員であれば、概ねほとんどの仕事をテレワークで行うことがでる。ICT技術の高度化で共同作業でも必ずしも集まって行う必要がないケースも増えており、共同作業を必要とするのにも関わらず完全リモートワークを実施している企業もある。

テレワーク、サードワークプレース利用を念頭に業務をABWで解釈すると、従業員が担う総業務タスクを、業務タスクの特質、従業員に固有な制約、従業員が選択可能なワークプレースの組み合わせで実施することを意味する。様々な制約を有する従業員が幸せにかつ効率的に成果を出せる組み合わせを探求していくことが、ABWの実践と考えてよい。

ペーパーレスやICT投資によって、同じ業務アクティビティであっても選択可能なワークプレースは変わる。働き方を変えるときには変えるためのコストもかかるので、企業や部署によって望ましい形も変わる。その巧拙によって業務効率も従業員満足も変わり、競争力を左右すると考えるのが適切だろう。

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