中央区とテレワーク

ふとサードワークプレースの台頭でどう世界が変わるのか考えてみた。

中央区は、昼間人口が60万人、住民は14万人である。つまり、46万人が中央区の外から何かをしに来ているという事になる。超乱暴に考えて、その46万人の人をオフィスワーカーと仮定、その2割の人がテレワーク対象者でその4割のワークロードを中央区以外の場所でやる事にする。そうすると46万人の8%、ざっくり4万席のサードワークプレース需要が中央区の外に生まれる計算になる。長い目で見れば、中央区のオフィスの席数は同じ数だけ減る。

中央区のオフィス賃料は坪当たり概ね2万弱。オフィス一人当たりの坪数は4坪程度なので、月額8万円程度かかっている。もちろん、会議室等を含む数字だから、デスクスペースが4坪ある訳ではない。コワーキングスペースだと、一人当たりの費用はnewworkで3万円が一つの相場。その他の費用は増えるけれど、逆にオフィス賃貸料以外にも電気代やネット代がかかるからどっちもどっちと考えるとその差は月5万円。

中央区のオフィスの賃料は月に4万席×8万円=32億円減少し、他の地域のサードワークプレースの利用が4万席×3万円=12億円増加し、企業は全体として20億円経費削減になる。ただし、テレワーク率が8%だから、全員で割れば4,000円の節約にしかならない。個人視点ではそれ程、目覚ましい節約には感じられないだろう。それでも1%程度の影響はあるかも知れない。

ただ、昼間人口が8%減ると多分、人が減った感じは感じられるだろう。ランチの売り上げは8%減り、飲食店の中には潰れるところも出るかも知れない。

一方で、減った4万席分の需要はどこかに行く。もちろん、魅力的なサードワークプレースは儲かるし、その周辺の飲食店も潤うに違いない。税収は移転する。

米欧の都市では既に兆候があるが、やがて日本でも自治体がサードワークプレースの誘致に必死になる時代が来るだろう。ただし、サードワークプレースが持続可能なものでなければあだ花に終わる。安易に補助金を出しても成功しないだろう。新しい街のデザインが必要なのだろうと思う。

ちなみに、中央区を選んだのは昼間/夜間人口比が千代田区に続いて第二位で約5倍だったからである。昼間人口をテレワークで奪われる可能性は高いが、テレワーカーもっと引き寄せて昼間人口を他の区から奪える可能性もある。テレワーク時代の魅力的な街がどういう属性を持つかについては、まだ分からない。