SIerを卒業して6年余。外から見るようになってSIに対するニーズの強さを感じている。また改めて「優秀な開発チームの育成」に成功するか否かがSIの持続的な成長に直結すると考えるようになった。大きくない会社でも良いチームはある。しかし、品質の織り込みと維持管理は組織が大きくて分業が機能しないと実現が難しいから大きなSIerには価値がある。まだまだ進化の余地があると思う。個々に見れば今巨大でも消えていく企業はあるだろうが、ニーズは無くならない。
オープンソースソースコミュニティとしてのDrupalを見ていると、SIの弱点は良く分かる。SIは基本的に一点ものを作っているわけだから、開発が終わればそのソフトウェアの成長は止まる。一方でコントリビューションされたソフトウェア(モジュール)はユーザーがつけば課題が提起され、改善活動が続いていく。
オープンソースでコントリビューションされたソフトウェアは誰でも使えるから、エンジニアが企業を辞めた場合でも、自分が書いた部分が公開されていれば再び書き直す必要がない。エンジニアは個人や気の合う仲間のチームで独立していく機会が増える。SIから見ると従業員支配力は落ちるが、市場競争力は上がる。Drupalの創始者が経営するAcquia社はSIで成功しているように見える。
Drupalの場合は、Drupal AssociationというNPOが機能していて、そこに品質維持機能が織り込まれている。その受益者はAcquiaだけではない。
私はDrupalの場合は、その育成にオバマ政権が相当貢献したと思っている。同時に、政府の経費も相当削減できた。そして、いくつもの「優秀な開発チーム」が生まれた。さらに、それは特定の会社や国に限らなかったのである。もう少し引いて見れば、Drupalはトップシェアではないし、成功したモデルと言い切るのには難がある。この先は分からないが、現時点ではリファレンスモデルの一つだと思う。
似たようなコミュニティモデルはこれからでも新しく作る事ができる。SIの大きな進化は、結構そう遠くない将来に起きる可能性があると思っている。