イスラエル・アメリカ・イラン戦争

アメリカの主権者がトランプを選ばなければ、この惨事は起きなかっただろう。

イスラエルは昔から諜報活動の強さで有名で、スパイウェアのペガサスはイスラエル発のもの。スパイウェアは明らかに兵器で、その武器輸出は商売になっている。Wikipediaの記述がどれだけ事実であるかはわからないが、権威主義国家でかなり危うい使われ方がしているのは間違いないだろう。日本で使われているかはわからないが、核兵器並みに危ない兵器と考えて良い。兵器・武器は一度作られてしまうと、やがて同種のものが開発されて利用されるようになる。防衛のためには武器の特徴を把握しないといけないが、把握するということは作り方も修得することと近い。スパイウェアは警察も欲しがるもので、政府が腐れば自由が失われる。思想や宗教の違いで弾圧されるような社会は願い下げだ。

為政者が暗殺を指示したり、破壊活動を主導したりする社会は許容し難い。

今回は、戦争を仕掛けられたのはイランで、それ自身は国際法違反としか思えないが、イラン政府はデモを弾圧して多くの国民を殺してきた歴史がある。決して善良とは言えない。

もちろん、戦争で直接命を失う人が出ること自身が許容しがたいが、今回は、それだけでなく世界中の人が迷惑している。化石燃料は長期的には使わない方向に動くとは言え、短期に供給が途絶えれば被害は甚大だし、医材への影響も出そうで、人命にも関わる影響が出るだろう。

一番怖いのは奪い合いを肯定する心理が支配的になることだ。それは移動の自由を奪い、安全を奪い、特に弱者にダメージを与える。アメリカもイスラエルも激しい格差の国であり、弱者のおかれている環境は極めて苦しい。なのに、そういう人たちがトランプやネタニヤフを支持しているのが悲しい。日本は国際的に比較すれば、一人当たりGDPは40位程度で台湾より低い、イスラエルの2/3程度。3万ドル以上の国の中では、下から5番目。中国と比べると2.5倍程度。中国の人から考えれば、日本の水準まで追いつきたいと思うことは自然なことで、国が大きいからその大きさを用いて取れるものは取ってやろうと考えるのも理解できる。ただし、それを輸出規制のような意地悪で勝ち取ろうとするのは感心できない。もちろん、中国から見て同じように日本にアンフェアを感じるところはあるだろう。(高市のような敵対的対応よりは)うまく調整できたほうが良い。現実問題として、中国の総原資は大きいし、人口も多いから、潜在的総開発力は日本を凌駕する。資金が投入された分野では競争力が高まるのは必定だ。日本がより小さな投入資金で競争できる分野もあるだろうが、マクロで見れば日本の所得水準は下がり、中国の水準は上がるだろう。力比べの道は合理的な道ではない。

ちなみに、OECD41カ国の貧困率ランキングではアメリカがコスタリカ、メキシコにつぐ3位(悪い方から3位)、イスラエルは4位、日本は8位である。格差が大きくなると扇動者が跋扈しやすくなる。貧困に陥ると、自分でなんとかしようとする力が失われ英雄待望(強いものへの依存)の心理が高まるからだ。もちろん、絶対額が足りなくても考える力が奪われる。恐らく少なくない日本の若者が、今、絶対額が足りていない。

戦後、バブル期には慢心したが、力に頼る社会からの脱却に日本は貢献してきたと思う。岸や安倍、高市のような反動的な政治家が出てくる度に少しずつ劣化してしまった。引いて考えれば今の日本に強い日本を目指す選択肢などありはしない。もちろん、今のトランプアメリカにただNoと言っても短期的には無駄でむしろ有害だろうし、イランに言論弾圧をするなといっても容易に聞き入れられることは無いだろう。しかし、平和を迎える道を探って主張することはできる。アメリカの主権者の中にも聞く耳を持つ人はいるし、イスラエルにも必ずいる。どう知恵を出すかが問われているのだと思う。

今は、強い日本を取り戻すという主張に風が吹いているが、それがかつて陥った戦争に至る道であることを思い起こさなければいけない。もう一度敗戦すれば風向きは変わるだろうが、戦争になる前に風向きが変わったほうがはるかに良い。イラン戦争で軍隊を運用しないのはもちろんだが、平和に至る道を探るために金も力も出すべきだろう。中東から石油が来なくなれば被害甚大だけれど、だから平和に向けて仲介するという話ではなく、世界の平和のために力を出す国というブランドを確立していくほうが、日本の安全を守り、国を豊かにするのに資するだろう。官僚にも、政治家にも、きっとそういう考えを持った人はいる。

2回目のトランプ、2回目の安倍を選んだのが、双方の国を劣化させたと私は考えている。

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