アドルフに告ぐ

アドルフに告ぐ(手塚治虫文庫全集) 読了。全3巻、貸し出し待ちを含め、約1ヶ月をかけて読み切った。

Wikipediaには「本作は「アドルフ・ヒトラーはユダヤ人の血を引いている」という説を前提として創作されたものである」と書かれている。その説を支持する人は少なくなかったようであるが、ヒットラーに関する英文Wikipediaによれば、2025年のDNA鑑定でユダヤ人の血筋は否定されたとされている。まあ、そもそも人種や純血性にこだわること自身が時代遅れだとは思うが、今後もそういった論争は続くだろう。

漫画という表現方法で空想歴史小説的な話を書いた手塚治虫はやはりただ者ではない。

小説も漫画も出版物は商品でもあり、その制約なしに存在し得ない、手塚治虫が本当に書きたかったものが何かは想像するしか無いが、3巻巻末の「あとがきにかえて」がそのヒントを与えてくれる。「でも、僕にとっては歴史じゃなく現実だった」という発言は印象に残る。実際に体験していないことは、どれだけ学んでも知識にしか過ぎない。それでも、悲惨を繰り返さないためには何とかして後世に伝えなければならないという思いは伝わってくる。

2人のアドルフの誠実さが悲しい。

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