カーボンプライシングの経済分析

カーボンプライシングの経済分析 読了。日経の(短評)『カーボンプライシングの経済分析』有村俊秀著で興味を惹かれて借り出したもの。久しぶりの横書き。正直に言って難解で難儀したが、書評に書かれている「実現性はともかく、制度設計をめぐる議論に一石を投じそうだ」より今後の進展に強く期待したいと思った。

どう考えても、温暖化問題は人類が直面している喫緊の課題であり、トランプが否定しようが、右派が台頭しようが、逃げることはできない本質的な中長期課題である。言ってみれば、あるのは分かっていながら、夏休みの宿題を8月下旬になるまでサボってきた状態と言って良いだろう。全く気づいていなかった人もいるかも知れないが、オゾン層問題などと同様、識者が危ないと言っていたことを知っていた人は少なくない。

私も、炭素排出の問題は知っていたし、自分でできることはしたいと思っていたけれど、何をすれば良いかは分かっていなかったし、民草の努力でどうにかなることではないとも思っていた。

本書では、排出権取引制度と炭素税の効用と日本へのインパクト分析を経済モデルや実績モニタリングによって相関分析を行ってまとめている。モデルも優しくはないが、全球レベルで問題解決しなければならない場合は、個々の国家が政策を自己決定しても機能しない。それでも行動しないわけにはいかないから、各国の研究者が論文を発表して、何が起きているのか、どういう仮説があるのか、その仮説の合理性や効用に対して、科学的な判断資料を提供して、より合理的な判断につながるように頑張っているのがよく分かった。

荒っぽく言えば、新自由主義は金という計測軸一点で十分という考え方で、EBPMは単一軸で優劣を測っても現実に適応できなから、金だけじゃないということを価値基準に設定しようとする考え方となる。

AIバブルは、明らかに地球環境視点ではマイナスだ。金で時間を買って投資家が儲けられればOKという話でもある。もうそろそろ、金で計測すれば良いと考える人によって、未来が奪われることのない制度が支持を得る時代が来ても良いのではないかと思う。

「実現性はともかく、制度設計をめぐる議論に一石を投じそうだ」は日経読者や関係者に共感を得られるかも知れないが、クオリティペーパーから株屋新聞に堕ちかけている危機を感じている。現時点では、その価値基準から出られないでいるが、何とか出口を見つけなければいけない。

出口を探している人は、恐らく世界中にいる。そういう取り組みをしている人にもいろいろな人がいると思うが、私はそういう動きを大事に保護したほうが未来が明るくなると思う。奪い合い、殺し合いで、人類滅亡になるよりははるかにマシだと思う。

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