当初は、週末にヒーウマー島、あるいはサーレマー島に行ってみようかなと思っていたのだが、ヒーウマー(Kärdla)行の飛行機は平日でないと一泊しないといけなくなる。サーレマーはバスとフェリーを使えば、いけないことはないが日帰りは不可能ではないが困難。ただ、たまたま現地で知り合った人から、自分の知り合いがいてたまには顔を見に行くのも良いから、車でつれていってやるというありがたい申し出を受けた。まだ迷っている。いずれにしても、冬の寒い時期に長居に適した環境でもないし、結局先週末の決行は諦めた。
金曜日の晩の懇親会を終えてホテルに戻り、じゃあ明日はタリンでゆっくりするかなと考えていた時に、突然、そうだフィンランドに行こうと思い立ってしまった。昨年も急にヌークシオ国立公園に行った。
上は、昨年11月19日のヌークシオ国立公園の風景。当地の初雪で歩き始めた時はまだ雪はなかったが帰りにはつもり始めていた。ホテルの向かいがフェリーターミナルなのでヘルシンキは敷居が低いのだ。今年はちょっと足を伸ばしてTampereを訪問しようと考えた。朝一番のフェリーはヘルシンキに9:30に着く。10時の列車でTampereに向かえば12時前に着き、14時の列車でヘルシンキに戻れば15:35。16:30のフェリーに乗って帰って来る計画を立てて予約した。フェリーの最終便が19:30ヘルシンキ発なので、途中うまくいかなかったり、もっと長居したくなっても何とかなると思ったのだ。とは言え、ギリギリのスケジュールである。振り返れば油断があった。
行きはヘルシンキでフェリーを降りて、Bolt(Uberのエストニア版、ヘルシンキでも使える)で駅に向かい10分弱前には到着。トラムでもぎりぎり間に合う可能性はあったが、多分この選択は成功だったと思う。列車は指定席ながら満席で4人席のほか3人が男友達の旅行でちょっとうるさかった。
Tampereを選んだのは、単純にフィンランドで人口第二位の都市なのが理由なのだが、かつて家族でフィンランドに行った時に、訪問する都市候補の中にムーミン美術館があるタンペレとムーミンワールドのあるトゥルクで迷ったことがあって覚えた地名である。街を見られれば十分だと思っていたので、2時間の滞在で十分と考えていたが、せっかくだから可能なら美術館に行ってみるかと思って調べたら駅から徒歩10分程度だった。
Tampereはヘルシンキよりだいぶん北側で、若干積雪量も多い。街を歩いた感じでは、フィンランド第二の都会というイメージは感じられなかったが、丁寧に整備された街は歩きやすい。
美術館は期待を圧倒的に超えるものだった。ムーミン美術館というよりは、トーベ・ヤンソン博物館という印象をもった。
ムーミンに関する展示が8割程度は占めていると思うが、故人に関する記述量も多いし、ムーミンに関するものも作品そのものより、作品と作者の関係や背景、改版についての記載が目立った。私にとっては、その方が作品と向かい合えると感じて、最初はちょっと眺めればよいと思っていたのに約70分の滞在となった。街を歩く時間は減ったが、素晴らしい体験となった。
ムーミン美術館は後悔させない良い場所だと思う。
街並みは、割とビルだらけという印象だが、公園は多い。水辺まで足を伸ばせなかったのは残念だった。
予定通り駅に戻ると、若干ながら列車が遅れている。
結局途中で雪のためにさらに遅れて、ヘルシンキ駅についたのは、ほぼ16時で大ピンチ。Boltで車を手配したが、アプリの位置情報がうまく働かず拾えずにさらに10分ほどロストし、Taxiを拾ったらクリスマスマーケットで通行止めが多く、完全に乗り遅れた上に40ユーロもかかってしまった。フェリーのチケットは買い直しとなり、窓口定価で併せて80ユーロ弱。1万円を大きく超える損失になってしまった。フィンランドの雪を甘く見たのは失敗であった。とは言え、無事19:30の便がとれて、21:30にタリンに帰りつけたのは幸いであった。
日曜日は、いつもどおりタリンメソジスト教会の礼拝に参加。来週から待降節・アドベントに入るから今日はカトリックの暦では年末になる。王であるキリストの祭日で、その解釈が教会牧師と、招待説教の両方で語られていた。この一年で亡くなられた教会員5人ほどの追悼がなされ、聖餐式も行われた。
タリンは良く晴れていて、展望台からの眺めが美しかった。
気持ちが良かったので、つい城壁の上に挑戦してしまった。
高所恐怖症の私には向かない場所だった。下の木が折れても、右の手すりが外れても5〜6m落ちることになる。腰が引けたが、途中のタワーなど、厳しい時代を思い起こすことができたのは収穫であった。