当地の知人に招待してもらってWorld Usability Day Estonia (WUD)に参加した。
アクセスビリティの話が多いのかと思っていたのだが、勘違いで、どちらかと言えばUI/UXのデザインに関する話が中心だった。チケットは2万円を超えるのに600名もの参加者がいて、非常に活発だった。大半はエストニアからの出席のようだが、トルコやインド、近くはフィンランドからも出席があり、会場ではコーヒーブレークでも英語での会話を多く耳にした。
エストニア政府のChief Digital Officerが政府ポータルのUX改善を説明するために婚姻プロセスの画面を紹介していて笑いを誘っていた。
結婚予定の相手の氏名と個人番号を入れ、どちらの名字を使うか、あるいは別姓にするのかなどを選択して、30ユーロを収めれば30日後以降の婚姻日に成立するものだ。30日経過して相手から承認が得られなければ、自動的にキャンセルされる。質問で同時に複数名に出せるのかというものが出たら、3人を相手でも出せる、将来は同性でも構わなくなると答えていた、もちろん、成立は一人としかしないので、現実にはそんなことは無いだろう。
セッションで一番印象に残ったのは、Tangible and Critical Engagements with Possible Future(s) through Design Fictionだった。起きる問題は、過去の活動の結果だという見識に基づいて、有りたい姿指向ではなく、可能な未来を想定するやり方で私にはとても新鮮だった。理論的なバックグラウンドは既に提唱されていたものらしいが、デザインプロセスとして整理されていて使えそうだと感じた。Lecturer, PhD Candidate, Estonian Academy of Artsだから、日本だとポスドクといった感じなのかもしれない。
出張を初めて27日目。大分英語に耳が慣れてきて、プレゼンテーションは日本語で聞き取るのとほぼ遜色がない感じになってきた。もちろん、分からない単語も少なくないが、日本語だって意味を本当に理解できているかと言えばそうでもない。とは言え、話す方は全然だ。コーヒーブレークやパーティでも会話はするが、そう長くは続かない。
ちなみに、会場は先日NEXPOがあった緑のレーザーが照射されていたトンネルの施設だ。もちろん、もうレーザーは光っていない。
World Usability Day Estonia (WUD)は今年で15年となるイベントで、知人によれば、当初は本当に小さなものだったのだそうだ。企業がやるイベントではない有料イベントなのに、これだけ盛り上がっているものは日本ではそうそう見かけない。私はカンファレンスだけに出たが、その前に2並列でワークショップも2日間行われていた。本当にすごいことだと思う。