リーダーシップとマネジメント

hagi に投稿

スポーツの場合は、勝つことが目標になる。オリンピックで優勝することを世界一と見なし、そのゴールを達成するためにどうすれば良いかを考え、行動する。常に運はつきまとうが、施策次第で成功確率は変わる、変えられる。

プロジェクトマネジメントであれば、設定したゴールに対して品質、コスト、納期を守って到達することが目標になる。(しばしば営業が担う)リーダーの最初の使命はゴールを決めることだ。ゴールが決まると、そこにたどり着くために必要な施策を打つことになる。マネジメントは、ゴールを明確に意識できるようにして力を合わせられるようにする。もちろん、サブゴールを設定して、サブマネジメントがサブゴールを達成しやすくするのは必要なことだが、それぞれのサブマネジメントが自分のサブゴールを達成しても、プロジェクトのゴールに到達できなければプロジェクトは失敗することを理解して貰う必要がある。ポテンヒットは起きるリスクはゼロにはならない。アウトソースしていれば、サブマネジメントに協力が得られる範囲は限定されるから、内部でカバーするかリスク対策リソースを確保しておく必要がある。

内部で見ると、品質、納期を守れれば、コストをより低く抑えれば利益は増大する。利益が増えればボーナスが貰えるかも知れないし、マネジャー、サブマネジャーの評価が高まり昇進、昇給の可能性が高まるかも知れない。

ここに危険が潜んでいる。一人ひとりがもう少しずつ頑張って計画した人員より少ない人数でやれば、短期的にはコストを抑えられる可能性がある。一人ひとりの生産性を上げて、何とかしようというのはおかしな主張ではないし、競合も努力しているから生産性の継続的な向上なしには持続性は低下していく。また、突発的な事件も起きるから、必要なリソースが得られないこともある。一度乗り越えてしまうと癖になる。たまたま運が良かっただけのことを自分は特別なんじゃないかとか、このチームは特別なんじゃないかという錯覚が生まれてくる。自分が優秀だと信じられるようになれば、能力を発揮しやすくなるので成功体験を繰り返せる可能性もある。運が良ければ、そういった成功体験を長期間に渡って味わうことができるし、評判が広がれば、期待も集まり、その信頼感から周囲の人も能力を発揮しやすくなる。強いチームと成功神話の誕生である。もちろん、元々の力が足りなければすぐ化けの皮は剥げるが、最初の奇跡が起きるようなチームは基本条件はクリアしているから持続性が高い可能性は大きいだろう。

世の中には、様々な性質をもった人がいるし、自分がとても足元にも及ばないと思うような高い能力を有する人も多く見てきた。また、強いチームと思うようなチームもいくつも見てきた。ただ、意外なことに能力者がチームのメンバーにいない強いチームも少なくなかった。それなりに立ち上がっているベンチャービジネスのチームの場合は、創業メンバーにはまず能力者がいる。ただ、必要とされる能力はフェーズによって違うから創業時の能力がその後も機能するとは限らない。逆に、ブレーキとして働くこともある。コアを作り上げた能力者がいなくなった後に強いチームが残ることもあるし、崩壊してしまうこともある。経験を重ねた投資者であれば成功確率を想像することができるのだろう。大きな会社の経営陣であれば、複数のチームの中から投資の優先順位を決めていくことになる。

様々な競争とプレッシャーの中で仕事は進んでいく。苛烈である。

一プロジェクトとか、一年とか、短期の競争ならハードワークが効果的だ。一方、ハードワークは視野を狭くする。パフォーマンスを出そうと思えば重要なところに焦点を当てるようになるから、どうしても見える幅は減る。

時代が変わる瞬間は予測できない。ちょうど良いタイミングに当たらなければ能力があっても道は開けない。未来の方向性に気が付ける人は結構多い。検索エンジンやポータルサイトだって気がついていた人は多かった。今話題となっている生成AIの分野だって可能性に気がついていた人は随分前からたくさんいた。クラウドサービスが装置産業モデルで、膨大な投資を行って初めて競争に参加できることに気がついていた投資家もたくさんいた。もちろん、気がつけない人もいる。技術的な課題を解決できる能力者だけでは足りないビジネスもある。イーロン・マスクのような化け物もいるが、複数の分野の能力者でチームが組めて初めて機能し始めるケースのほうが一般的だろう。

リーダーは、ステークホルダーにゴールを共有させる能力とも言える。抽象的な言い方をすれば彼は地図そのものだ。

マネジメントは、兵站だ。地図が読めないと困るが、地図を書けなければいけないわけではない。

同じ人間であっても、リーダーを担うべき時があり、兵站を担うべき時があり、大勢の働き手の一人として参加するのが適当な時がある。どこにも自分の居場所が見当たらない時もあるだろう。

私は、今グローバル化時代にいると考えている。地球温暖化、環境汚染、感染症、DAOの夜明け、戦争の匂いなど全球で取り組まなければなんともならない問題の優先順位が上がっている。解くべき課題はみちみちているのだ。挑戦せずに死んでたまるかと思うのである。

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