Drupal Code of Conduct (Updated)

Drupal 行動規範が更新され、2023年7月1日に発効する。機械翻訳で十分読める。

行動規範(Code of Conduct)は、コワーキングの世界でもオープンソースのコミュニティでもどのようなコミュニティでもコミュニティの維持に大きな影響を及ぼす。実際に規定された行動規範に完全準拠することは極めて困難で、私自身、守れていないなあという心当たりはある。また、他のコミュニティメンバーを見ていてもあら捜しすれば何らかの行動規範違反を見つけることはできる。

Drupalの場合、コミュニティとは何かが難しい。Drupal Associationは自分たちのことを以下のように書いている。

The Drupal Association is an educational non-profit organization that fosters and supports the Drupal software project, the community and its growth. 

DrupalのコミュニティとDrupal Associationは一致しない。Drupal AssociationのメンバーでなくてもDrupalの各種イベントに参加することはできるし、Drupal Slack等で意見表明やバグの報告を行うことはできる。そういう関わりを持つ人はDrupalコミュニティの一員と見なされる。

創始者のDries氏は、2017年に行動規範違反が提起されている。内容を読むと、私はDriesは行動規範に反した行動を取ったと思えた。英語が弱いこともあって、当時の動きはほとんど理解していなかったが、DrupalCon Baltimore 2017で微妙な空気が漂っていたのは記憶に残っている。その後顛末が7月に報告されている。

Drupal Association and Project Lead Statement Regarding Larry Garfield

結論としては、Driesの判断は間違っていないことになっていて、その説明についても一定の納得感がある。しかしながら、ついているコメントにはかなり厳しいものも含まれていて、深刻な分断があることが分かる。正直に言えば、Driesの行動に両手を上げて賛同する気持ちにはならない。同時に、彼は十分誠実だと思うし、Drupalコミュニティにとってかけがえのない存在だと思う。また、引用した記事には改めていわゆる役職権限の剥奪を宣言しているが、コミュニティからの追放はしないと明言されている。ただ、一度ことが起きてしまうと、傷は生じ、生じた傷は容易には治癒しない。Driesは”I did not communicate as clearly as I should have.”と書いている。Driesは明らかに優位な立場にあるわけだから、その権力に必要な注意を払うことができなかったと言える。だから駄目だということにはならないが、たった一回の事件で失ったものは大きい。

あらためてコミュニティの健康状態の維持は難しいことを感じさせられる。

コミュニティに関わる人にとって、行動規範は普段意識するようなものではない。オープンソースプロジェクトのようなボランタリーなコミュニティでは、会社組織のように偉い人の言うことには従わなければいけないという規範はないから、様々な争いは日常的に起きる。貢献度の高い人同士が対立すると深刻な影響が出る。特にリーダーの準拠性は強く問われることになる。DriesからはDrupal行動規範を守る意志を強く感じる。常に完全な行動が取れなかったとしても、コミュニティメンバーの多くからの支持は得られるだろう。それでも、今後も事件は起きる。だからこそコミュニティメンバーが行動規範を学ぶ意義は大きい。

Drupal行動規範に書いてある内容をおかしいと思う人はいないだろうと思う。しかしながら、無意識に「他人の意見や努力を軽蔑する」ことや「見下すような態度をとる」ことを避けるのは難しい。また、これはまずいんじゃないかと気がついた時に声を上げるのも容易なことではない。声を上げると「侮辱的または軽蔑的なコメントをする」を含む炎上を招くことがある。悪意がなければ酷いことにはならないという甘い予想はしばしば裏切られる。何も起きていない時に行動規範を学べと言われても説教親父の戯言のようにしかとられないだろう。

DrupalコミュニティはDrupal行動規範に学ぶ時に、過去の事件を思い出す必要があると思う。学ぶ時には、どちらが正しかったかという裁きの観点ではなく、行動規範に関わるような事件が起きるとダメージが大きいことを知り、そこから良い道を探す力を獲得していくことだ。事件はなくならない。傷がいえる前に蒸し返すようなことはさらなる分断を招くリスクがあるので注意が必要だが、過去の事件を忘れようとしてはいけないのだと思う。

日本のDrupalコミュニティにも過去の不幸な歴史があると聞く。最近の更新は確認できないが、http://drupal.jp/ というサイトが存在し、トレーラーに「Copyright © 2005-2017   Drupal Japan」とあるが、組織情報は開示されていない。私は、常識的に考えてオープンソースコミュニティの活動として不適切だと思うが、過去記事を見ると、真面目にDrupalの普及に貢献したいという意思を感じる。新Drupal行動指針に沿えば、「知識へのアクセスをブロックまたは制限する(ゲートキーピング)」という容認できない行為を行っていることになるだろう。

このゲートキーピングは、非常に難しい課題で、Drupal Japanに関わらずさまざまなシーンで発症する。誠実によかれと思って始めたコミュニティ活動も常にゲートキーピングの罠に堕ちるリスクをもっている。企業が先行者利益を得たいと思うのは自然なことだし、競争に負ければ存続できない。だからといって、コミュニティ活動の邪魔をするのは良くない。なんとかして「誰一人置いてきぼりにしない」未来を目指さなければいけないと思う。最近、かなり深くDrupalコミュニティに関わるようになって、つらい思いをすることもある。私自身がDrupal行動規範をもっともっと意識しなければいけないと思っている。

様々な欠点や能力不足があるのは自覚しているが、粘り強く取り組んでいこうと思う。

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