今日は、予定が飛んでしまったので、タリンからバスで1時間強のPaldiskiというところに行ってみた。特に理由があったわけではないが、電車でいけるところとしては、昨年南側の中心都市のTurku、東のロシア国境の街Narvaに行ったので、西側に向かってみようと思って検索したらPaldiskiという港町があった。実際には、バスで行っても時間が変わらず、値段が若干安いのでバスに乗った。市外バスで、英語の通じない運転手さんだったので、少々難儀したが無事ühiskaartで払うことができた。片道3ユーロ弱である。事前計画のないふらり旅だったので、短い日本語のWikipediaを見ただけで、海軍基地だったところかという程度の印象でとにかく到着後歩いてみた。
海岸には容易には出られないので、その少し離れた道をできるだけ海沿いに歩いていった。山道のような道だが、雪のせいで新しい足跡があれば、まあ大丈夫だろうということで歩いていったら冒頭の画像の場所にたどり着いた。海から、引き込んだところが人工物で囲まれていて結構深い崖になっている。
冒頭の画像で左奥の高みから取った写真。実際にはこれが最初の目撃で、これは何だ?と不思議に思ったのであった。
後刻調べてみたところBastion of Peter the Great's naval fortressの一部だった。ピョートル1世の海軍要塞らしい。スウェーデンからバルト海海域の制海権を奪い取ったあたりの話に関わるらしい。今は、エストニアの一部だが、ロシア語らしい発音を耳にする機会がタリンより遥かに多く、数十年の単位ではそう簡単に社会は変わらないのだろう。WikipediaもPaldiskiのエストニア語版を日本語翻訳で読んでおけばもう少し予備知識を得られていたと思ったがそれは後の祭りだ。
入ってみたロシア料理レストランは安くて美味しかった。タリンで感じるよりはちょっとぶっきらぼうな感じもあったけれど、ボルシチにもペリメニにも満足した。タリンでは、ボルシチはメニューに書かれている店は少ない。ロシア料理屋でも書かれていないことが多いが、ボルシチはありますかと聞くとあると答えが帰ってくる。メジャーな料理ではないのかも知れない。ちなみに、今日の店ではボルシチはもう一つのエストニアの肉スープより1ユーロ安いメニューとして掲載されていた。注文すると今日できるかどうか聞いてくると言われた位だから注文する客は少ないのかも知れない。
今日もそうだったが、こちらでは全く現金は必要ない。基本はみなカードで済む。そして、チケットは事前にWebで買うのが安くつくので、そういう習慣が結構年齢の高い人にも浸透していると感じさせる瞬間も多い。日本は、快適な接客に慣れすぎていてそこから出ることができず、逆に待ち時間が長くなったりミスに遭遇する機会が増えているのではないかと感じるのである。どこにも理想郷など存在するわけもなく、地域格差や建前は守られているものの民族差別も無くなってはいない。奪われた記憶は、そこここに記録されている。
だからこそ、制度の透明性や公正性にこだわりが強いのかも知れないと思った。
平和に思いを馳せる小旅行となった。