What's new in Google AR

GoogleIOのビデオを見た。ARの日常化はかなり近づいていることを感じた。以下のビデオは一見の価値があると思う。

私は、ゲームをやらないこともあって、ARはほとんど追っていないが、Depthでスマホで3Dモデルを構築でき、今回発表したLong Range Depthは屋外で20メートルまでの範囲に対応できる。細かく追ってみないと分からないが、スマホの位置情報と画像解析によるモデリングがリアルタイムでできるようになると、ARでオブジェクトを配置でき、ちゃんとカメラで木などの向こうにあるのが分かるようにできる。メタバースの時代になれば、会う場所が3Dモデリングになって、あの喫茶店で会おうといった事もできるようになるだろう。アバターではなくリアルイメージもありだろう。

Depthには機械学習の組み合わせが可能で、2眼のカメラならかなりスピードが出るらしい。3Dモデリング技術が一般化し始めるとどんどん精度は高まるに決まっている。臨界点はかなり近づいていると感じた。ARCore Geospatial APIは、その最初の一歩となる可能性が高い(参考記事:Googleが空間スキャン無しでARコンテンツをアンカリングする「ARCore Geospatial API」提供開始)。

割と簡単に自分で3Dキャプチャができるようになると、ヴィデオ会議は大きく変わるだろう。もくもく会もリアルに近づくだろうし、臨場感は格段に上がるに違いない。

私は懐疑的に考えているが、技術進歩でメタバース時代が本当に来るかも知れない。まだ本格的になるまでには5年や10年はかかるだろうが、気がつくと世界が一変していたということになる可能性がある。もうスマホ前の時代を容易に思い出すことはできないが、私が初めてT-mobile G1(アンドロイド)を手に入れたのは2009年だから、まだ10年ちょっとしか経過していない。メタバースはともかく、数年後にはスマホはARデバイスに代わっていると思う。Google Mapは3Dになり、広告も自然とARに対応するだろう。Webも影響を受ける。スマホアプリのUIは激変する。カメラ内臓のネックスピーカーのようなデバイスも出るかも知れない。

プライバシーの問題をもっと真剣に考えないといけないし、現在の管理指向のマイナンバー制度は破綻する。もっと生体にフォーカスした個人の権利に焦点をあてたものに変わっていかないと将来性が期待できない。肖像権を含めて、権利保護の体系を早めに見直す必要がある。米日はついビジネス側への規制あるいは振興という産業政策視点で見てしまうが、GDPR的に個人の権利という観点で体系を整理しないとビジネスリスクも上がってしまう。許認可という制限をかけていくという方向から、個人の権利が拡大していくという体系で整理し直すというパラダイムシフトが必要なのだ。単純化すると前者がマイナンバー制度モデルで、後者がエストニア、EUのeID制度モデルだ。

AR技術は、実用化が進めば社会の変革を促す破壊的変化をもたらす。ベンチャーの誕生も楽しみだが、社会デザインをうまくやれないと、産業も育たない。産業政策から考えるという全世紀的な考え方自体の見直しが迫られているのだと思う。