日本のコロナ対策は客観的に見て成功していると思うがリスクは小さくない

hagi2021/05/25(火) - 19:13 に投稿
WHO COVID-19 Explorer 210525

米CDCが日本への渡航自粛を求めるリリースを出した。その理由を次のように書いている。

Because of the current situation in Japan even fully vaccinated travelers may be at risk for getting and spreading COVID-19 variants and should avoid all travel to Japan.

ワクチン接種を完全に終えていたとしても今の日本の状況では変異株に感染し感染を広げる恐れがあるからと述べている。

私は現在の政府及び自民党は透明性が低く支配指向が強烈に感じるので批判的な立場を取っている。しかし、COVID-19に関する実績を見ていると他国と比較すればかなり良い成績と考えて良いと思っている。一つは、昨春の8割減の効果だったと考えている。少なくともあれで時間が稼げたのは良かったと思う。7月も欧州が制限緩和を進めた時に日本でも第二波が来たが、日本では比較すれば遥かに軽かった。1月の第三波もグラフを見る限り欧米諸国と比較すれば極めて低い。世界レベルで比較すれば感染対策では優等生と言っても良いと思う。

一方で、時間稼ぎができたのに関わらず、何が有効なのかは未だに分かっていない。第4波も何とか踏みとどまっているが、感染防止方策が確立しているわけではないので、言ってみれば「自粛能力」が高いのが勝因と考えるのが妥当だろう。結果として感染者を抑えられている事実は誇ってよいが、今後の感染爆発のリスクが残っていると考えないといけない。「さざ波」発言は間違いではないが、国別で残リスクを評価したら、日本(あるいは日本、台湾)はかなり危ない状況にあると見るべきで、他の国々とは別の方策を取る必要がある。

冒頭のCDCのリリースは端的にその評価を行ったものだと読み取れる。秋以降の欧米の感染拡大は「自粛能力」が相対的に低くて感染を止められなかったと見るのがよく、変異株の感染力増加で深刻化してしまったと考えられる。そして、今急速に新規感染を抑制できているのは自粛+ワクチンの成果と考えられている。ワクチンの効果は万能ではない。本人が重症化しなかったとしても変異株に感染し伝染の原因になることはあるから、公衆衛生上の観点からするとCDCが感染爆発のリスクが残っている日本に渡航するのは止めるべきだと考えるのは合理的な判断だと思う。感染爆発が起きれば、現在のワクチンが通用しない変異株が現れるリスクも高まるから、とにかく感染しない、させないが重要だ。

もちろん、オリンピック開催など公衆衛生的な観点で見ればとんでもない暴挙だ。

努力を続けて登りつめてきたオリンピック選手に競技をやってもらいたいという気持ちが強い人もいるだろうし、イベントに関連して儲けようとしている人もいるだろう。様々な思惑が交錯するのは自然なことで、一概に推進を主張する人を悪人とみなすべきだとは思わない。しかし、多くの人の命がかかっているという現実と日本の残リスクが他国に比して高いことを理解して判断しなければいけないと思う。

以前は、重症化するリスクが高い人を守るという考え方に合理性はあったと思うが、もう考えを変える時期だろう。飲みに行きたい、集まりたいと強く思う人からワクチンを受けるという考え方もあって良いと思う。人の心は合理的な判断で抑えられるとは限らない。

ちなみに、私が昨年長期滞在を予定していたエストニアは、昨秋から激しい感染爆発に苦しめられた。

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WHO COVID-19 Explorer 210525 Estonia vs Japan

7月には、10万人あたりの14日間新規感染者累計で日本を下回ったのだが、秋からは大変な経験をした。ヨーロッパでは確か移動の自由を許容する数字の設定が17だったと思う。現在でもまだ250程度と決して低いわけではないく、東京は50~100の間にあるので人口あたり新規感染者数では依然として2倍以上の差がある。しかし、今後のことを考えるとエストニアのほうが日本より希望が持てる。

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Koroonakaart-Statistika-koroonaviiruse-leviku-kohta-Eestis

上図は、エストニア政府のCOVID-19ポータルだ。地図の上の部分に総人口あたりのワクチン接種済率が32.9%とある。2回接種済みはその約半数で、恐らく半年後には集団免疫を獲得できるだろう。被害は甚大だったが、前向きな気持になっていると思う。

オリンピックの時期の日本は楽観的に見て数%だろう。よほど丁寧に自粛を継続しなければ感染爆発は避けられない。私は、そのリスクがあるのにオリンピックを開催しようとする自民党や都民ファーストの会のような政党と菅、二階、麻生、田村、西村、平井、加藤、小池あるいは橋本、丸川、安倍、甘利のような政治家は無差別殺人犯と同じだと思っている(あくまで主観)。不要不急のイベントを開催する(宗教団体を含む)法人の経営者も同様に見ている。もちろん、それぞれに考えはあるだろうし、支持者がいるから薄氷の地位が維持できているのだから、その意見は尊重されて然るべきだ。果たして、命は守ることができるのだろうか。私は運を天にまかすという考え方は好きではないが、勝てば官軍と考える人は開戦時と同じように賭けに出るだろう。そういう代表者を選ぶか否かは主権者の選択である。でも、運の良い人はいるんだよなあ...。結果が良ければ(死人が出なければ)、短期的にはそれが一番。