今週も福音のヒントに学ぶ。今日の箇所は「聖霊降臨の主日 (2021/5/23 ヨハネ15章26-27節, 16章12-15節)」。ただし、今日は福音のヒントの本文部分には触れない。
昨年のペンテコステ(wikipedia)は、砧教会では春の総会決議後、唯一その総会決議の閉鎖基準に抵触しない主日であった。なぜか、牧師はその日は会堂を再開せず、翌週に再び閉鎖基準に達したのに書記役員とともに会堂再開を強行した。私の信徒人生に大きな影を落とすペンテコステ翌週の2020年6月7日事件からまもなく1年になる。
それはさておき、ペンテコステは不思議な話しだ。まずは福音朗読ではなく第一朗読を引用させていただく。
第一朗読 使徒言行録2・1-11
1五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、2突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。3そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。4すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。
5さて、エルサレムには天下のあらゆる国から帰って来た、信心深いユダヤ人が住んでいたが、6この物音に大勢の人が集まって来た。そして、だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった。7人々は驚き怪しんで言った。「話をしているこの人たちは、皆ガリラヤの人ではないか。8どうしてわたしたちは、めいめいが生まれた故郷の言葉を聞くのだろうか。9わたしたちの中には、パルティア、メディア、エラムからの者がおり、また、メソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントス、アジア、10フリギア、パンフィリア、エジプト、キレネに接するリビア地方などに住む者もいる。また、ローマから来て滞在中の者、11ユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もおり、クレタ、アラビアから来た者もいるのに、彼らがわたしたちの言葉で神の偉大な業を語っているのを聞こうとは。」
どんな事実があったのかは分からない。しかし、キリスト教が国や人種を超越した宗教となった瞬間と捉えることができる。
福音のヒントの冒頭に「復活祭から50日目に聖霊降臨を祝うのは、使徒言行録2章(第一朗読)にあるペンテコステ(五旬祭)の日の出来事に基づいています。イエスは復活して天に上げられますが、弟子たちには聖霊が注がれます。弟子たちはこの聖霊に駆り立てられて、福音を告げ知らせ始めました。その意味で聖霊降臨は過越(すぎこし)の神秘の完成であり、同時に教会の活動の出発点なのです」と書かれている。前週学んだように天に上げられたのは40日後とすると、その10日後にこの奇跡が起きたことになる。非常にスピーディな展開だと思う。使徒言行録は調査報告書のような側面を持つ(wikipedia)ので、基本的には事実に基づいて書かれていると考えて良いと思う。
イエスが処刑されて、そのショックから回復する目安を49日とするのは、まあわからないではない。しかし、その当日に世界宗教化が始まったとするのは事実であればとんでもない速さだと思う。にわかには信じられない。少なくとも、11人の弟子だけで活動が回るとは考えにくいので、十字架につけよと叫んだ群衆とは別にイエスを支持する勢力も相当数いたと考えたくなる。やっぱりイエスは本物だったと思うんだよねと考える人が集まってペンテコステは再決起集会になったのだろうか。そうだとすれば、イエスの死で終わったと思っていたが、終わっていなかったという転換点となる。一度消えかけた火が再び燃え始め、イエスがいないが故に自立的、同時多発的な布教活動が起きたのかもしれない。
使徒言行録では、この記事の直後に「ペトロの説教」が書かれている。その文章を読んでも特に感動的なものではない。
ペンテコステの奇跡があったと考えると、素晴らしいことだと思えてくる。同じ言葉を話していても意外と思いは伝わらない。自分の思いはなかなかうまく伝えられない。逆も然り。もちろん、理解できない言葉で語られれば理解のしようがない。自分の母語で福音(キリスト教信者が伝えたいメッセージ)を聞くというのはとんでもなく強力なメッセージとなる。
霊が下ると人の行動は劇的に変化するという話は示唆に富む。まず心が動いて、言葉が後からついてくるのではないだろうか。言葉で整理すると矛盾も明らかになるし、正統性の争いを生む。道に迷った時は、自分の心が動いた時どうだったのかを確認するのが良いのだろう。信徒であれば、洗礼を受けた時のことを思い起こすのが手っ取り早い。当時の自分の未熟さにも気が付かされるに違いないが、確かに心が変化していたことを思い出せるだろう。
現実には一人ひとりが進む道を自分で選び取らなければいけない。
※画像は「♡あたしのボスはイエス様♡(命と平和)」の昨年のペンテコステの記事から引用させていただきました。