今日、CACホールディングスが保有する株式会社CACクロアの全株式(CACクロアの株式の100%)を、イーピーエス株式会社へ譲渡することを発表(弊社株主変更の決議について)した。ここ3年で売上高が毎年減少し営業利益で2億円以上の赤字を出していた。私がCACの取締役だった時には、部門統括職として関わったこともある事業で、その将来を大きく期待していた事業である。当初の引率者のことを思い出す。
今は、クラウドサービスと呼ばれる事業は2000年頃にはASPという名称で産声を上げていた。Application Serviceではレイヤが低いと考えて、BPOが本命だと考え、知見のある医薬分野でのBPO事業にCACの未来を託すのが正解だと思っていたが、稼ぎ頭は金融機関向けのプロフェッショナル・サービスだったので、当時の社長の積極推進もあったのだが、フラッグシップになることはなかった。金融系でもASP事業に類似する新規事業は企画されたが、今はその経緯をたどることも難しい。
コンピュータアプリケーションズが1966年に設立された時、パトロンがいたのを置いておいたとしても、下請けではなくコンピュータメーカーにもユーザーにも依存しない独立した産業のフロントランナーとして起業したと聞いている。メーカーの下請や、ユーザーの下請けが伸びる中、武士は食わねど高楊枝的な自己満足もあったかも知れないが、私が入社した1984年頃には結構勢いがあった。私は、29年しか勤めなかったが、環境変化を踏まえて当初とは違う形になったとは言え、独立した産業のフロントランナーたらんと最後まで頑張っていた。
当時は、医薬BPOと年金BPOが期待の星だと信じていた。
ニュースリリースの中に「CRO 事業:製薬企業が医薬品開発時に行う治験業務や製造販売後の業務の受託・代行サービス」とある。改めて読み直すと「受託・代行サービス」という言葉に下請臭が残っている。「独立した産業=顧客との対等な関係」ではない。
プロフェッショナル・サービスは、本来ボディショップではないが、継続的な発注をいただける大得意先に抗うことは難しい。(売上あるいは利益)/顧客数が大きくなると技術進歩は止まる。それが大きくならないように技術投資を行えなければ長期持続性はない。
恐らく、CACクロアの顧客である製薬会社も構造は変わらない。政府依存度が高まれば腐る。短期的には、長いものに巻かれたほうが儲かるのは間違いないが、私はそこに日本の凋落を見る。儲かっている人の風下に立つのではなく、新しい価値を創造する人に金が流れる社会が望ましい。