米国大統領の弾劾審議で考えた。

NYタイムズの「McConnell is said to be pleased about impeachment, believing it will be easier to purge Trump from the G.O.P.」を読んで考えさせられた。私的意訳をすれば、「共和党のダースベーダーが25条適用より、弾劾決議を行ったほうがトランプを共和党から排除するには近道だと言った」という記事である。

弾劾決議に関して、共和党は党議拘束をかけない方向のようだ。この記事には推測が多く含まれているので、何がどこまで本当なのかは分からないが、共和党議員はどちらに投票するとしても勇気が必要だろう。

トランプ氏には破壊力がある。誰もがトランプ氏が平気でウソを付くことは知っているが、それでもその破壊力で流れを変えたいと思っている人は多いのだろう(ダースベーダーは伸びしろがあると言った)。選挙というルールを破っても、暴力に頼っても勝つという道でも良いと考えている人も一定数いるのは不思議なことではない。多分、日本だろうが、ドイツだろうが、他の国だろうが、どこにでもそういう人はいる。しかし冷静に考えると、意見など千差万別で皆が一致することなど無い。無理を通すことなく何が良い道なのかショートカットせずに丁寧に進んでいかなければ、為政者は勝つことにエネルギーの多くを使うことになり、陽の当たらないことは放っておかれることになる。今回のように暴動が起これば、本来未来に向かってやるべきことに手がつかなくなり、コロナ対策にさく時間も減る。結果的に、事実に向き合わない集団は弱っていく

本来、トランプかバイデンかという対立に焦点があたるところで民主主義は敗北している。誰かではなく何をに焦点を当てないといけないはずだ。もちろん、リーダーの力量がなければ物事は進まないが、リーダーに依存してしまうとそれは自由の放棄と変わらない。

何を進めるにしろ、誰が進めるにしろ、力で問題を解決するような社会に堕ちてしまうと、合理性を取り戻すためには長い時間が必要となる。

アメリカの憲法の全文の和訳では、「われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に 備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここに アメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。」とある。弾劾決議に際して、もう一度原点に返ったら良いと思う。言い換えれば、弾劾決議が共和党に否定されたとしたら、共和党は反社会勢力確定ということになる。

共和党の重鎮は、勇気を出して誤りを認めて、一度原点に戻って考えようと発言したら良いと思う。コロナのおかげで真摯に事実に向き合う時が来ている。共和党員に限らず、自分の責任ではなくコロナのせいだなどと考えるのは適切だとは思わない。