制度設計は恐ろしい

Why Markets Boomed in a Year of Human Misery - 悲惨な年に市場が急成長した理由』という記事は示唆に富む。

理解するのに結構時間を要したが、とても興味深い知見が得られたのでFacebookでシェアした。

この記事は一つの仮説に過ぎないが、マクロ・全体で見ると個人の収入はアメリカでは約100兆円増えた。政府が借金して撒いた金のせいだ。一方、グロスで見ると支出は約50兆円減っている。つまり、マクロで見ると150兆円がどこかにあるということになる。それが株高につながったという主張と考えて良い。

この仮設と推論があっていたとすると、株高で利益を得て格差を広げた人は悪者ではない。コロナで怖い思いをしなかった人は誰もいないだろう。何とか生き残るためには、できるだけ経済的に有利な選択をしようと思うのは当たり前のことだ。医薬品やAmazonなど有望な株に投資しようと思うのは、ちっともおかしなことではない。

支出減があるということは生活は貧しくなっているということだ。蓄えのない人で収入の少ない人の生活を破壊してしまう。一方で、蓄えのある人は、自己防衛に動いた結果、富を増やす。恐らく意図的な悪人はほとんどいない。

恐らく、日本でもある程度似た傾向があるように思う。我が家では、多少変動要因があるものの、2020年の収入はほぼ2019年と同じだった。一方、支出は100万程度減った。食材費と外食費を含む食費で10万以上減ったし、衣服費も減った。交際費や娯楽費も減った。海外渡航の自己負担分も大幅に減った。この記事にあるように在宅増加に伴う出費は他の支出減よりかなり小さかった。家計簿を見る限り、2020年は2019年より状況は良いのだ。2019年は諸般あって赤字だったので良くなったからといって楽になった感はないが、在宅中心ワーカーなので、私はこの記事で言うCOVID-19でわずかとはいえ潤った側にいることになる。

マクロで見ると、どう考えてもアメリカはもちろん日本でも税制に手を入れないわけにはいかないと思った。GoTo的な格差助長政策には終止符を打つ時期が来ていると考えるべきだろう。単純にBIに移行すれば良いということにはならないが、本来経済に貢献可能な芽を摘むような状況になっていると考えないわけにはいかないと思う。

法治社会の制度設計は極めて難しい。まず、透明性を高めて検証可能にするところから始めるのが良いだろう。道のりは長い。