ワーケーションは一ヶ月滞在を基本に考えた方が良いと思う

hagi2020/11/02(月) - 16:40 に投稿
高の原

ワーケーションを休暇の延長で考える人が少なくないようだが、私は短期休暇の延長線上、あるいは出張+半休暇的な考え方は持続性が低いと思う。ワーケーションは状況が許せば半永続的にそこにとどまり続けることができるのが望ましい。

叶わなかったが、この夏、一ヶ月間エストニアのタリンで過ごすことにしていた。自分の中ではワーケーションである。1ヶ月間だとアパートメントホテルが20万円弱、生活費が毎日3千円だとすると一ヶ月の生活費は30万円という事になる。コワーキングスペース等のコストを含めても40万円くらいの継続的な収入(仕事)が日本で得られれば、経済的には1年いても大丈夫ということになる。日本では、ワーケーションのホストシティが工夫すれば、収入15万円コースから50万円以上コースまでプランを作ることはできると思う。外国の場合は、VISAの問題もあるから現実には3ヶ月以内しかいられない。仮に2ヶ月で計画したら、2週間の自己隔離期間があったとしても許容可能になる。短期のバケーションにWorkを足したワーケーションでは自己隔離期間中に帰る日が来てしまうので、ワーケーションは成立し得ないが、国内でも十分な自己隔離期間が取れるのであれば、清浄な地域でワーケーションが受け入れ可能になる。

一ヶ月を基本形と考えると、バケーション時間は1日3時間程度を充てるように考えるのが自然になるだろう。良い時間に毎日3時間ダイビングするとか、スキーするとかするが、一日8時間しっかり働くことは可能である。朝7時から11時まで4時間働いて16時から20時まで働いたって良い。日中の良い時間をレジャーに充てることができる。実際には、リモートワークで行える仕事を毎日8時間も実施するのはかなり困難で、体が持たない。締め切り前の瞬発的な作業は別にして、コンスタントにこなせるのは4時間から6時間が限界だと思う。感覚的には8時から11時まで集中して、16時から19時までもう一クールをまわすというあたりが現実的な気がしている。

私は、打ち合わせなどの時間が調整できる場合は、東京でもそういう働き方で仕事をしている。8時から11時まで午前の仕事に集中し、泳ぎに行く日はしばしばある。泳ぎ終わって軽食をとって帰ってくると15時頃。それから19時頃までもう一つ仕事をこなしている。会社の事務作業など自分にとってあまり優先順位の高くないものはもっと夜遅くに飲みながらダラダラとやるケースも多い。予決算などを除けば集中力を消耗するのがもったいないと思うからだ。だから、ワーケーションの場合でも、水泳の代わりに何かそこでやった方が良さそうなことをその時間に充てるだけだと思うのである。夜や、朝がその活動に望ましいのであればそういう風に計画を調整しようと努力するだろう。

多分、タリンにいれば、日中の時間の多くは現地企業の訪問に充てたり、ビジネスチャンスを探るために歩き回る。1ヶ月滞在するのであれば、観光も入れるだろうし、できればパブの常連も目指すと思うが、気持ちは引っ越してきたつもりになって生活する。それが私の考えるワーケーションだ。

もちろん、一ヶ月より短くても良いし、移住に近づいても良い。別荘のイメージを重ね合わせても良い。

ちなみに、タリンの滞在計画ではその期間中に家族が3泊程度で遊びに来るケースも想定していた。季節の衣装替えまでは想定しないが、一定の日常生活が確立しているイメージである。バケーション色はもちろん東京にいる時よりは高まるだろうが、メインに置くことは考えていなかった。ちなみに、プールはあるかとか、食べ物はどうやって調達するかとか、そういった情報は結構調べていた。

ちょっと脱線するが、EUではEU市民の権利として域内の移動の自由が保証されている。Home country(母国)とHost country(滞在国(文脈により訳は変わる))という概念があり、徐々に滞在国のIDカードを取得しなくても母国のIDカードで納税を含む手続きができるようになってきている。ワーケーションは受け入れ自治体がHost cityになるということだ。変な話になるが、もしHost cityがワーケーションを行う方に住民票を発行したとして、12月から1月にその人が住民になったとしたら、住民税はHost cityに納税することになる。デジタル時代、ワーケーション時代は、もっと細かく自然人と自治体(サービス、納税義務)を定義し直す必要があるだろうと思う。私は税逃れを指向することはないが、自分がワーケーションを自治体側で整備しようと思ったら、どうやったら税収を増やせるだろうか、どんなサービスが必要で、どういう義務を設計するかに相当力を割くだろうと思う。

私には、観光業の延長線で考えられているワーケーションは徒花に見えている。松島氏が書かれた「ワーケーションを経験デザインだと考えてワーケーション2.0を想定してみる」で見ると、私のイメージするワーケーションは、ワーケーション3.0に近い。ワーケーション1,2,3では住環境が大きく変わり、対象者が得られるべき市民サービスと負担すべき(納税)義務が大きく変わると考えている。永住ではなく、一生ワーケーションという考え方も生まれるだろう。その時、Home cityあるいはHome countryがどういう使命を負うことになるのかは、現時点では全く想像がつかない。私がe-residency、エストニアに強い関心を寄せるのは、そこに未来のヒントがあると思っているからだ。

画像は今年出張で訪問した高の原の京都側。最近は、遠出する度に、もし私がここでワーケーションするとしたらどうなるだろうと考える。静かな場所は、決して嫌いではないが、自炊できないと生きていけない場所は私には厳しい。ショッピングセンターやスーパーがあれば何とかなるとは思うけれど、そこにいる人たちの多様性と一定の入れ替わりがないと楽しくない気がする。

Twitterシェア