持続可能な開発目標(SDGs)を確認していたら、Goal1の「貧困をなくそう」は99点で黄色(達成近し)の評価となっている(Sustainable Development Report Dashboards 2019)。それだけ見ると、まあそうだよなと思うのだが、中身を見て見ると実は結構ヤバイ。
まず緑マーク(達成済み)の絶対的貧困率。一瞬達成済みと喜びそうになるが、ちょっと待て。一日約200円以下で生活している人、約350円以下で生活している人が、それぞれ0.5%、0.7%いる。143人に一人(90万人弱)が350円しか使えず、200人に一人は1日200円も使えないのが本当であれば、コンビニのおにぎりを3個買えないという事だ。本当だろうか。絶対的貧困は世界基準で決めているから、0.5というのは世界水準では十分小さな値だが、日本で暮らしていくという視点に立つと現実的な数字ではない。
ちなみに、この0.5%、0.7%はアメリカと同じ値で、ロシアは、0%、0.1%、中国は0.2%、2.5%である。統計数値の信頼性も気になるが、日米ともに基本的人権である生存権を守ることができていないと考えた方が良い。90万人に300円/日を支給するのに必要な金額は年間985億円。一般会計の約0.1%。日本は0.1%を支出して絶対的貧困をゼロにしようとしていない国という事になる。
赤マークの相対的貧困率は15.7%。この層に入る人は、明らかに自分は貧しいと感じる人たちである。日本では6人に一人が中央値の半分しかもらっていない。しかも、その中央値が下がっていて、平均値以下が6割を超える格差社会だ。総合トップのデンマークではこの値は5.5%でまだ改善傾向にある。アメリカは17.8%で日本よりひどく、イギリスは11.1%。お隣の韓国は13.8%。
この数字が高い国は国民に対して冷たい国だ。日本は、アメリカほどではないが、世界で有数の国民に冷たい国と言うことになる。美しくないと思う。