コワーキングスペースの先達はほぼ間違いなくコミュニティの重要性を強調する。しかし、アンケート等を取ると、利用者の選考基準としてはコミュニティに関する期待は大きくない。むしろ、話しかけられないスペースを好む人の方が多いという声を聞く。
Global Coworking Surveyでも、その傾向が出ており、CUAsiaでその発表があったときにはため息が出たともいう。
企業の従業員の場合はさらにその傾向は高そうで、無人で受付の人とも会話が無いほうが良いという希望、場合によっては受付の人に声をかけられるのが不快と考える人もいる。
コミュニティは、人の集まりなので、割とキーとなる多くの人とのつながりがある人が核になりやすい。その人がイベントをやれば、場所はあまり関係ない。全く関係ないわけではなく、居心地の良い場所とキーパーソンとの接点の組み合わせ、出席者の性質(性格、性向)が満足度に影響を及ぼす。
コワーキングスペースは、かなり認知度が上がってきていて、シェアスペース自身は珍しくなくなった。単なる作業場所であれば、自習室もあれば、タッチダウンオフィス、場合によっては喫茶店も候補となる。イベントスペースも選択肢は広がってきていて、安価なスペースから高機能なもの、ゴージャスな場所も選択できるようになった。
どうやら、コミュニティとスペースのアンバンドルが進みそうな気配だ。
ただ、コミュニティのキーパーソンあるいはたまり場の価値は減らないだろうと思う。空振ることはあってもあそこにいけば特定のコミュニティの関係者に会える可能性が高いというだけでも、十分価値がある。
かつてCoworking Europeで「コミュニティをホストするスペースを模索している」という発言を聞いたときに、そんなことがシステマチックにできるだろうかと訝ったのだが、スペースの選択肢が増えてくるようになるとその考え方が現実的になりかけているように思う。