今日、WeWork丸の内で打ち合わせがあったので、OAZOの丸善に久しぶりに寄ってみた。
月曜日の昼食時間でオフィスワーカーと思われる人がたくさんいて繁盛しているように見えた。何より、ビジネス書も技術書も新刊がたくさん刊行されているように感じられたのに驚いた。近年、書籍は持ち歩きや処分に困るので、特別な理由がない限り電子書籍に頼っている。
気になって、丸善のページを当たって見たら、現在は丸善CHIホールディングスという会社で主な販売事業は丸善とジュンク堂だった。いつの間にか同じグループになっていた。決算発表資料を見ると、店舗・ネット販売事業セグメント売り上げは前年比99.1%、営業利益は売上750億に対して3億円の赤字となっている。図書館や大学等がターゲットの文教市場販売事業セグメントが売上600億、利益31億で、販売事業全体では1350億、27億の黒字となっている。決して楽勝な商売には見えない。
ついでに新刊の推移を全国出版協会の資料で当たって見たら、10年前から10%以上新刊単行本は減っていて、文庫本の売り上げは半減している。出版業自身が苦しい感じが伝わってくる。
一方、実体験としてのOAZOの丸善は楽しい。実際に平積みになっている書籍を眺め、手に取って拾い読みし、おっ、この本は中々良いぞと感じると嬉しくなってしまう。ただ、持ち帰るのは重いし、読み終わった後の事を想像してしまって、結局購入には至らなかった。
将来に渡っても書店には存続して欲しいと願いつつ、結局書店に金を落とすことは無かったのである。複雑な気持ちになった。
言い古された視点ではあるが、インターネットを当たり前に使うようになると、目的を明確にした検索からのアクションか、マッチング・リコメンデーションによる被誘導でのアクションを限られた視野角で行うようになる。目的無くぶらぶらとディスプレイされているものを見るという行動は贅沢な行為になるのだ。
その贅沢な時間を守る方法はあるのだろうか。書籍を図書館等で買い支えるという選択肢は解になっていないように思う。書店での経験に相当するVR的な解を待つ必要があるのかもしれない。著者のマネタイズを容易にする制度も必要な気がする。すそ野が広くならなければ頂点も高くならないだろう。
果たして、本の手触り、実物感を残すことができるのか、それとも長年続いてきた紙文化は博物館行きになるのか。
10年後あるいは30年後には、書店と図書館は統合されているのではないかと、ふと思ったのであった。