今年のGCUCはBostonで開催され、4月10日(木)にSelf guided tourが設定されている。
Industrious - Back Bay、The Village Works - Brookline、Workbar - Back Bay、Industry Lab 2.0の4軒を選んで訪問した。インダストリアスとワークバーはParty会場として設定されていて、インダストリアスはパーティ前のツアーに参加したもの。残り3軒が木曜日に訪問したものだ。
Industrious - Back Bay
Industriousは現在は多数の拠点をもつ大手ブランドで、ボストン以外でも訪問したことがある。「2人の創業者は別々のコワーキングスペースを利用していたが、顧客を接遇するには質が足りないという同じ悩みを抱えていて、大会社並みの質感を有するコワーキングブランドを立ち上げることにした。」とあるようにきれいなスペースで、どこに行っても統一感があり、安心感がある。ハイエンド分野ではWeWorkが依然として有力なプレーヤーでビルのグレードとしてはWeWorkの方が上と感じるが、コワーカーあるいは少人数企業にとっては居心地感でIndustriousが上回るように感じる。WeWorkはシェアオフィス色が強く、Industriousの方がクリエイティブのコミュニティの器となっているイメージがある。
会議室もきれいだ。自社オフィスの会議室でないという控えめな感じを残しながらも、十分一流企業のプロスペクトを招き入れられる品質が確保されている。
The Village Works - Brookline
The Village Worksは、今回の4軒の中ではもっともコミュニティコワーキングの匂いがするスペースだ。中心部からは若干距離があるが、グリーンライン(D)の駅近で、明るく開放的、かつクリエイティブな感じがある。テラスがあったり、共有スペースはラグジュアリーな感じで、利用者が多く、それなりに人口密度は高いが、窮屈感を感じない。一人で利用するなら、一番居心地が良さそうに感じる。ただ、大手と違ってネットワークがないので、そういう意味での使い勝手には限界がある。
会議室は簡素で実用上何の問題も生じないだろう。デコデコした感じもなく、スペースの雰囲気にマッチしている。コミュニティコワーキングにふさわしい感じがした。
2Fラウンジには電話ブースが併設されている。限られたスペースを上手に工夫している感じに好感。
驚かされたのはBFのトイレだ。大きな椅子がおかれているが、ここで寛ぐシーンは想像できないし、まさか他人が利用中に待つわけでもなかろう。それでも、用を足すスペースに十分なスペースがあるのは悪くない。
Workbar - Back Bay
Workbarは、私の知る限りもっとも早い時期にコワーキングスペース運営の定式化、構造化を実現したプレミアコワーキングスペースである。当時は画期的でガレージハウスのようなコワーキングスペースばかりだった頃にオフィスグレードかつコミュニティ重視の空間だと講演を聞くなどして理解していた。実物を見たのは初めてだが、期待通りの立派なスペースだった。コミュニティエリア、パーティションありの集中エリア、一般デスクなどよく考えられたセッティングのバリエーションがある。ボストンにフォーカスした上で、丁寧に進化を続けてきたことが感じられた。
ワークスペースのセッティングはABWに適した感じになっている。中には固定席もあるが、基本は自由席なのが良い。
ちょっと奇をてらったような共用スペースもある。新しいブランドでも同じような試みはあるが、黎明期のスペースは、どうやってユーザーに楽しんでもらおうかと考えた形跡があって微笑ましい。
Industry Lab 2.0
Industry Labは2拠点でややFabLab感のあるコワーキング指向シェアオフィスと感じられた。第二拠点の受付にはなぜかトトロがいた。元は車のガレージ(修理工場)だった建物を流用しており、パッキングのロボットの開発をやる企業が入っている。通常のオフィスとは違う頑丈さが感じられ、同時にコワーキング感も感じられる不思議なスペースであった。
受付横ロビーにも立派なピアノが置かれていたが、2階にもキーボード等の楽器のあるリビング風の共用スペースがある。が、振り返ってみると仮眠スペースと考えるほうがしっくりする。Industriousのホワイトワーカー品質と、ベンチャーメーカーの期待するワークスペース品質は違うものだ。どちらが良いということではない。結局はユーザーやスポンサーからみて魅力的であれば生き残ることができる。最後に外から見た絵を貼っておく。