起業と成長ステージについての私感

今日は、お誘いがあったので、一般社団法人とりで起業家支援ネットワーク主催のビジネスプランコンテストに参加した。とても気持ちの良いイベントで、懇親会で長い時間お話をうかがった地方自治体の方のもすごく良かった。中動的という言葉を学んだのは大きな収穫である。取手市は約人口10万人で日暮里から電車で30分ちょっと。私にとっては初めて訪問した街だ。ビジネスプランコンテストも9回目、起業家コミュニティも機能していて100人以上の参加者があり、その一般投票で、審査員の審査結果とは異なり、下村薫氏のヨガ教室を中心としたコミュニティサロンの提案が表彰された。

下村 薫下村 薫地域住民のwell-being を支援することを目的とし、ヨガ教室を中心としたコミュニティサロンを提供する

今まで様々なビジネスプランコンテストを見てきたけれど、スケール指向ではなく徹底したローカルコミュニティ、身近な社会問題解決に焦点があたっているものは見たことがない。金の匂いはしなかったが、心から応援したい気持ちになった。

改めて、起業と起業後のあり方について考えさせられた。最近、10人規模、30人規模の会社の経営に関わらせていただいているので気になっていたのもある。

最近読んだ日経の『経営革新を阻んだもの(上) 「統治」は生きている 山田仁一郎・京都大学教授』も気になっている。

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まず、起業は個人あるいは数人のチームの情熱で始まる。半数は割とすぐ破綻するが、自力はもちろん、創業者の財力や支援者の力で5年生存すると新たなステージを迎える。実力があれば、いずれ成長期を迎える。

成長期は難しい時期でもある。内乱も起きるし、資金も必要になる。黒字倒産の危機にも直面するし、分裂の危機にも瀕する。しかし、一部の企業はビジョンを再確認してその危機を乗り越える。ただ、それだけでは乗り越えられない。成長期になれば、自力だけでは生き残れない。資金もいれば、CFOや法的知識をもった専門家の助けを借りずに生き残ることはほとんどできない。

成長ステージに入った時に歯を食いしばって10倍、30倍、100倍と規模を拡大すると、次のステージが待っている。社会的な存在として経済や文化に影響を与える段階である。逆に成長ステージに入っているのにビビってしまうとチャンスを失う。失っても残る企業もあるが、99%は持続性を失う。大分小さくなったとは言え、企業の持続性を保つには今でも60人から100人程度は必要だろう。

歳を重ねて思うのは、それが見えてしまう悲しみである。もちろん、全部が見えるわけではないから、自分の経験ではどう考えてもだめなビジネスが成功するのを見るのもいくつもある。それは喜びではあるが、何らかの関わりをもっている場合は、その奇跡に期待するわけにはいかない。

成長期に入れる段階まで頑張った経営者の多くは万能感の犠牲になる。それを超えられる人が一人でも増えることを願ってやまない。

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