スタッフとの接点の削減

以前は、Unitedのゲートのカウンターには良く列ができていて、便の変更をリクエストする人を見かけたものだが、今回の渡航では、ほとんどそういうシーンは見られなかった。基本的にゲートから呼び出された人がカウンターに行くケースだけのようだった。以前見たカウンターでのやり取りは自分のケースを含め結構長い時間を要することが多く、サービス提供側から見れば頭痛の種だったのだと思う。時間が限られる中で待たされれば客は苛立つし、刻一刻とオプションが狭まるわけだから誰もハッピーになれない。

Need to change flights?デバイスはこの問題を解決する切り札として導入されたものだろうが、実際に利用している人を見ることは無かった。しかし、私にニーズがあったら使ってみただろうと思う。使いやすいかどうかはわからないが、必ず改善されていくだろうと思う。恐らく、すぐに人間のサービスを越える。顧客体験を上げ、同時に収益を改善するはずだ。実際、スマホアプリのチェックインもオプションを提示するようになっていて、満席のフライトだと、クーポンやマイルを提示して、この便への乗り換えに応募しないかと誘ってくる。これも競りになっていて、高くても乗りたい客に席を確保する代わりに、応募者の中から少ないマイルで譲っても良いという応募をマッチングさせて航空会社は利益を得、乗りたい客は席を得、応募者は代償を得る。合理的である。今回6セグメントの飛行で隣の席が空いていたのは一度もなかった。乗る側からすれば空いている方が嬉しいが、満席でも文句はいえない。広い席が欲しければ高い金を払って良い席を買えということだ。合理的である。裏側のシステム開発には相当な力が投じられているのだろう。

スタッフとの接点の削減はレストランでもどんどん進んでいる。日本でも居酒屋やファーストフードではオーダー端末が普及し始めているが、アメリカではスマホ注文が増えている。

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今回は、ソルトレイクシティからデンバー経由の夜行便でニューアークに5時半頃に着く便を予約したところ、Unitedから招待制のレストランを使わないかとメールが飛んできた。メニューを見ると、オムレツが22ドルと安くはないが、早朝の到着で安心できる空間で荷物を置いて洗面所が使えそうなら嬉しいと思って予約した。実際に通された空間は上の写真の通りで悪くなかった。テーブルのQRコードは席毎に違うものが貼ってあり、それをスキャンしてメニューからオーダーする。必要があればスタッフが対応してくれるが、オーダーの基本はセルフサービスだ。招待制のレストランでセルフサービスだからすごいと思う。

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立派な朝ご飯。結局トータルでは約6,000円。まあ試しも含めて覚悟していたからこんなものかと思うのだが高い。パブでビールを1パイント飲んでも1,700円程度するから、ニューヨークで特別高い値段とは言えないだろうが、やはり高い。

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実際にもらったのはオレンジジュースで、メニューにオレンジジュースが見つからないと給仕の方に言ったら、パイナップルジュースで頼んでくれ、オレンジジュースを持ってくるからと言われた。おかわりはただでくれた。

脱線したが、セルフサービスはどんどん進んでいる。まだUIに限りはあるし、UAの一般的なオファーと比べれば未熟な感じはあるがやがて人間のサービスを越え、人件費を削減し、トラブルも削減するだろう。私は、それで良いと思う。ただ、何もかにもが金次第になっていって、スモールビジネスの生存は容易ではなくなる。家賃ゼロで廉価商売をやっているような店も恐らく持続性は高くない。ニューヨークだとチップをケチるととたんに給仕の態度が悪くなる。セルフオーダーシステムの方が気楽だ。チップも店が考える相場オプションの選択またはカスタム額を入れられるようになっている。情報システム的には満足度調査に相当する。料理や時間帯、給仕が誰だとチップが多くなるかと言った相関分析をやっているに違いない。多分、借金あるいは資本の力で積極的に投資して挑戦し失敗すれば退場、成功すれば儲けて還元という資本主義に忠実な活動になっているのだと思う。尻込みをしている人にチャンスはなく、それでいて成功確率は決して高くない。落ちこぼれてしまう人はとても多い。

アメリカだなあ、あるいはニューヨークだなあと思うのである。

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