ipfsに期待する

暗号資産はじめましたで参照したDries Buytaertの記事でipfsでホームページを上げた記述(Step 2: Upload a HTML file to IPFS)がある。ipfs(InterPlanetary File System)がP2P技術を使ったファイルシステムであることはすぐ理解できるのだが、それが何を意味するのかに気付くまでにはしばらく時間がかかる。キーワードは、ここでもless trust more truthだ。

ipsfに関する記事としては、IPFS入門が好印象だ。IPFSとはで書かれているように現在のSNSやブログサービスはプロバイダーに依存したサービスとなっている。考えたくはないが、FacebookはともかくGoogleが倒産したり、邪悪にならない保証はない。中国やロシアに限らず国家としての日本も、あるいはエストニアでさえ国家が情報統制に走る可能性は無視できない。だから、不特定多数の数で勝負するというモデルだ。

2022年3月22日の時点で、このブログはGCP(Google Cloud Platform)に置いてある。backupは取ってあるものの、障害が起きればアクセスできない。もし、ipfsが一般的になったなら、対障害性は明らかに向上するだろう。どこかにキャッシュ(という表現は正確ではないが)データが残っていることが期待できるからだ。

逆にipfsにデータを置く(ハッシュが割り当てられる)と改変も消去もできない。もちろん、そのデータから派生するデータを生成することはできるが、改変後には新たなハッシュが割り当てられることになる。つまり、自分の過去を消せないのだ。私は、それで良いと思うが、それに耐えられない人は少なくないだろう。特に政治家や隠し事が問題になる人への影響は大きいだろう。ipfs時代は、社会常識としての寛容さが重要となる。過去に何をやったかということは無視できないが、今どう考えているかを尊重しないといけなくなる。今どう考えているかを表明すれば、それは過去の事実となる。繰り返し、約束を違えればその記録は蓄積されていく。しかし、情報発信することなしに社会に影響を与えることはできないから、何か今と違うことを実現したいと思えば、その新常識に対応する以外の道はない。

単純に言えば、トランプや安倍、もちろんプーチンも習近平も扇動者で居続けることはできなくなるだろう。

果たして、そういうTruthに基づく社会に移行するまでに今生きている人たちの心にどれだけの時間が必要なのかは容易にはわからない。しかし、いずれ来るのは間違いない。ただ、そんなにすぐには来ない。その前に世界が滅亡してしまわないことを祈る。